『田中刑事写真集』の舞台裏をのぞく <5> エヴァンゲリオンSP誕生秘話 3

田中刑事さんのスマートフォンのカバー。シールでデコったのは、田中さんご自身。
写真/鮫島亜希子
奇跡は偶然ではない
ご存じのように、昨年7月の対談ののちに田中刑事さんは、その後長引くことになる、右ひざの怪我をされました。その1か月後には溶連菌感染症を患い、入院といった試練が続きましたが、一度も試合を休むことなく、全日本選手権では4位。エヴァンゲリオンSP初演の予定だった、昨年9月のアイスショー「ドリーム・オン・アイス」は怪我のため辞退し、11月のNHK杯エキシビションで初披露となりました。
今年に入って、「スターズ・オン・アイス」、「ドリーム・オン・アイス」と出演され、その演技は磨かれていきましたが、新型コロナの問題もあり、撮影には入れない日々が続きました。
そうしたなか、2021年7月。
中京テレビにご協力いただき、名古屋のアイスショー「ザ・アイス」で、練習風景からショーまで自由に撮影できることに。
フォトグラファーの鮫島亜希子さんと共に名古屋に飛び、最終日の撮影ができなかったため、出来たばかりの新FP「ウィップラッシュ」はリハーサルのみでしたが、エヴァンゲリオンSPに関しては、氷上間近の真正面から、31日の昼の部、夜の部を撮影することができました。
田中さんご自身の演技が研ぎ澄まされていたため、撮影された写真は1カット1カットすべてが美しく、迫力あるものでした。鮫島さんが全振付を追ったことで、よりいっそうエヴァンゲリオンSPのテーマが見えてくる。
さらに、昼の部と夜の部とまったく同じ場所から撮影できたため、わかったこともありました。
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髪のなびき方から、顔の表情、体の角度、翻る上着の裾のはばたきすら同じだった。
クラシックピアノも型にのっとって、忠実に演奏を行いますが、不思議なもので、ただ機械的に弾いても同じものは再現されません。そこに至るまでには膨大な試行錯誤の積み重ねがある。
日々滑り込み、振り付けの一つ一つの感情を深く掘り下げ、その意味を理解するまで――田中さんはその情熱を、以下のように語られています。
田中刑事さんのインタビューより
ぼくの周りにもアニメ好きはたくさんいて、『エヴァ』を見た人はたくさんいるんですけど、ぼくがおかしくなったのか、ずっと好きなのは、ぼくだけですね。好きなものは面倒くさくならない。好きなものなら、やっていく過程も楽しむことができる。
飽きないものを見つけるのはすごく大変で、それがハマっているということなのだと思います。そこをぼくはやり続けたい。
(インタビュー:2020年4月18日)
つづく
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写真/鮫島亜希子 『パリ』「ザ・アイス」より
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