俺たちピラミッドMKK

対決

VOL.08

100年に一度だけ行う女だけの祭

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(投稿者:神奈川県・鶴岡範之)

──今回のテーマは「100年に一度だけ行う女だけの祭」です。一番原稿が早かったのは、去年のうちにあげてくれた五月女さんです。

寺田 スミマセン!
小岐須 優秀ですな、オイ!
五月女 ふふふ。去年の仕事は去年の内に済ませないとね(笑)。
小岐須 これ、五月女節が利いてるな~。
寺田 可愛い。そのままポスターに使えるよね。
小岐須 さては仕事に使おうとしてるだろ?
五月女 この祭りがあれば、ぜひポスターに(笑)。

──気になって「山踏み祭」でググったら、同じ名前のお祭りがでてきましたよ。

五月女 え?そうなの?
寺田 五月女、ポスター狙ってるな?
一粒で二度美味しい仕事にしたな!
五月女 えー(と、携帯で検索を開始)。あ、ホントだ。
重慶に住むミャオ族の伝統的な……だって。
外国なら、まあいっか。
寺田 これは山を踏むの?
五月女 うん、山を踏む。SM的な
小岐須 ええっ?
寺田 SM?これはどこの山?

──富士山ですか?

五月女 架空の山ですね。富士山は女かもしれないから。
この山は男!
小岐須 なるほどね。「男を踏みつけてやる!」って
心情なんだ(笑)。
五月女 違うよ。SMだから「快楽をあげるよ」ってほうだよ。
だから100年焦らすという、焦らしプレイですよ。
寺田 100年に一度しか踏んでくれないんだね。
そこで全員が踏んでくれる最高の祭りだ、と。
五月女 女という女がね(笑)。

──山踏み祭には何人くらいの女性が参加しているんですか?

五月女 もう、結構な人数ですよ。
本当はもっと描いたほうがいいんですけどね。
選ばれた千人くらいかな。映画化の際は、
一万人くらいに集まってもらってね。
小岐須 あはははははははははは!
これ、映画化も狙ってるんだ(笑)。
寺田 なるほどねー。
でも、今回は本領発揮な感じがするよね。
五月女 最近、なまけてると思われそうな
絵ばっかり描いてたからさ。
小岐須 自分で言っちゃうんだ(笑)。
寺田 この絵にクイズは無いのかい?
五月女 今回は無いですね。

──でも、この可愛い絵をパッと見た時にSMとは思わないから、
ある意味クイズかもしれないですね。

寺田 山が射精してますからね、赤いけど。
踏まれて赤いんでしょうねえ。血尿だね!
五月女 100年に一度だから、相当我慢してたんだね(笑)。
寺田 カワイイ~。
これは、やっぱり服の下は裸ですよね?
五月女 いや、だからね、本当は裸も
アリだなと思ってたんだけど……。
寺田 まあ、オレとかぶるしね。
五月女 一応、私のほうが先に提出してるけどね(笑)。
これは結構美人じゃないと踏めないんですよ。
選ばれた者だけが踏める。
寺田 これ、鞭?
五月女 そう、鞭。
小岐須 なに?そんなフェティッシュな感じなの??
五月女 そうだよ。
寺田 これは百目蝋燭?
五月女 そうそう。
寺田 完全なSMじゃないか!
小岐須 SMの起源がコレだったりするんじゃないの?
五月女 そうだね、きっと(笑)。
寺田 緊縛、鞭、蝋燭!素晴らしいな~。
五月女 今年は、ちゃんと下ネタを
解禁していこうと思って。
寺田 この連載をエロで埋め尽くしてね。
五月女 これからはエロしか描かない!

──ええっ! 「しか」ですか?

五月女 ふふふ。
寺田 着物は少しシースルーっぽい感じなの?
五月女 そう。だから隠れたエロス。
小岐須 ちょっと濡れてるっぽいよね、肌色が透けて。
五月女 だんだん濡れてくるからね。
寺田 汗でね。
小岐須 これからが凄いんだ(笑)!
五月女 イメージとしては日活的な感じです。
寺田 宣伝ポスターには「飛び散る汗!」ってね。
小岐須 ありそ~(笑)。
五月女 日活で映画化したいな~。
寺田 「秘められた想いが今、爆発する──!」
そんな感じですね。
五月女 お祭りの喧噪のなかで、
いろんなドラマが起きるわけですよ。
寺田 いいね~!

──今回のテーマをお送りした時に、すぐに「SMだ!」と思ったんですか?

五月女 いや、色々アイディアは出しましたね。
小岐須 でもSMに落ち着いたんだ(笑)。
これから、ずっとSMでいくの?
五月女 いや、いろんなエロを。
寺田 時代はエロだから。
小岐須 そうなの(笑)?
寺田 当然ですよ。オレは去年からエロですから。
エロで本を出し(※『エロ×メカ』)、
エロで展覧会をしましたからね
(※空山基×Rockin'Jelly Bean×寺田克也
『Pussycat! Kill! Kill! kill!』~3バチ展)。
去年がエロ元年ですよ、エロガン!
もともと、エロマンガ誌(※「激漫」)の
表紙絵を描いてましたしね。
五月女 そうなの?
小岐須 そのエロマンガで、俺は初めて
寺田克也を知ったんだよ。
だから、そもそもがエロっすよね。
漫画もちょっと描いてましたよね?
寺田 『ちんこ姫』を描きましたね。泣ける話でね……。
五月女 え?泣けるの?見たーい!
小岐須 泣けない泣けない(笑)。
寺田 何言ってるんだよ!全米が泣いたよ!
五月女 『山踏み祭』も全米が泣いたよ!
寺田 アジアン・ビューティー好きな欧米人がウハウハですよ。
五月女 ショーン・コネリーが出ててね……。
小岐須 え、日本人じゃないんだ(笑)?
寺田 ショーン・コネリーが祭りに来るところから
映画が始まるんですよ。
小岐須 リチャード・ギアが来そうだけど!
寺田 今だったら誰かな。ブラッド・ピットとか?
五月女 ヒュー・グラントが好きだから、
ヒュー・グラントがいいなあ。
寺田 中年の魅力がね。ヒュー・グラントは、
この山を登っちゃいけないことを
知らなかったんだよね。
五月女 そう、男は入っちゃいけないの。
小岐須 話がデケェよ!ハリウッドなんだ(笑)。
五月女 ハリウッドですね。
寺田 日活はイメージだから。
五月女 日活の映画を元にして、
ハリウッドでリメイクされたんです。
寺田 イイネ~。
今年の広がりを感じさせるスケール感ですね。
五月女ケイ子、渾身の意欲作!2015年!

──また新しい扉が開きましたね。

寺田 これまでに増して楽しみだね。
「山踏み祭」でLINEのスタンプ作ったらいいんじゃない?
「踏んでいくよ~☆」とかね。
全然どこで使うかわかんないけど!
五月女 欲しいね~(笑)。
寺田 「欲しいね~」じゃなくて、ケイ子がつくるんだよ!
五月女 ふふふ。次はまーくん?
これ、かっこいいね。
寺田 ね、クラフトワークみたいなね。
小岐須 ちょっとカッコつけました。

──お家芸ですね。

小岐須 横顔を描くと、僕の場合も手を抜いてる
感じに見えるかもですけど…
寺田 コピペ?
小岐須 いや、コピペじゃない(笑)。ちゃんと描きました。
これはね、100年に一度、
選ばれた女の子たちが山に連れてかれて…
寺田 山?
五月女 山??

──山繋がり??

小岐須 うん(笑)。山の中の洞窟に連れて行かれて
見てはいけないものを見せられる祭り。
光の筋が入っているのは、
見てはいけないものが通ってるから。
寺田 見てはいけないものと言うと……
お父さんとお母さんの……?
小岐須 いやいや、そういうんじゃなくて(笑)!
百鬼夜行なのか地獄を見せられているのか……。
これは色素が薄い子たちが集められているんですよ。

──アルビノということですか?

小岐須 そうです。アルビノの女の子を集めて、
13人ずつ並んで何かを見せられる。
声を出しちゃいけないから、
みんな黙ってるんですよ。
寺田 13という数字には何か意味があるんですか。
小岐須 方角の12方位に天を入れて13。
寺田 なんで100年に一度なの?
小岐須 見たら見たで、この人たちが
バラしちゃうじゃないですか。
「こんなものを見た」と。
寺田 ツイッターで?
小岐須 まあ(笑)、そうなると地獄があるとか
百鬼夜行を見たらしいとか、
噂が色々広がるから、それが100年経って
風化した頃に、また開催される。

──これはエロ的な要素は無いんですか?

小岐須 エロ的なものは無い。
寺田 え~。無いんだ~。
五月女 えー。無いのー?裸でしょう?
小岐須 裸じゃない(笑)。服着てる。
服も特に決まりは無くて、みんな同じ服を
着てればいいので、毎回変わっていくんですよ。
寺田 見るだけ祭りか!
小岐須 そう、見るだけ祭り。大々的にやるんじゃなくて、
選ばれた人たちだけでひっそりと。

──アルビノ以外に選ばれる条件はあるんですか?

小岐須 年端のいかない女の子。もしかしたら、
生命的な何かを見せられてるのかもしれないなあ。
寺田 ええっ!お父さんとお母さんの?
小岐須 いやいや、育みじゃなくて(笑)、もっと根源的な
何かを見せられてるんじゃないかって。
五月女 根源的な?なになに?気になる。
小岐須 地球の…大地の…流脈の…
寺田 ガイアの交ぐわい?
小岐須 そうそう。
寺田 スケールでかいね。交ぐわい側の絵を見たかったなー。
小岐須 この子たちの先にはあるけど、もう絵には描けない。
描いちゃいけないんですよ!
五月女 出店とか出ないの?
小岐須 出店は出ない(笑)。ひっそりやるから。
寺田 ひっそり祭りか~。
小岐須 洞窟の外では、みんなが集まって
わーわーメシ食ってるとは思うんだけど。
で、アルビノばかりが集まってると、世間からは
「この色素の薄い人たちは何をしてるんだろう?」と
不審に思われるから、わからないように
そーっと連れてくる。

──真ん中の女の子の顎が光っているのは何故でしょう?

小岐須 この子だけ顎のところに、
ちょっとパッチが着いてる。
寺田 喉の拡張?
小岐須 もう、それでいいです(笑)。
まあ、今回は至って真面目に描きました。
五月女 これは映像が流れてるの?だから光ってるの?
小岐須 いや、何かが通ってるんですよ。
寺田 じゃあ、発光してるものなんだ。
小岐須 何か、人ならざるものが通ってる。
で、見ているのがアルビノなのは、そうしないと、
あっちに気づかれるからなんですよ。
寺田 あ、そうなんだ。その設定は……
いきなり出てきたねえ(笑)。
でも説得力が増しましたね。
小岐須 これは男の人も
見たことがないものなんですよ。
寺田 保健の授業みたいなもんだね。
「なんの話してんだろうな!」って。
五月女 あははは。

──この光景を見たことによって、アルビノの女の子たちの身に、何か変化は起きるんですか?

寺田 それだ!
小岐須 何かあるんだと思う。
寺田 でも自覚はないんだ?
見たことも忘れるくらいのインパクト!
小岐須 そうですね。まあ、学者たちはこの祭りについて、
諸説立ててるらしいですけどね。
アルビノの子たちのなかにも、
自分たちが見たものを研究するために
学者になる子がいるみたいですよ。
寺田 なるほど。マサチューセッツ工科大にね!

──ところで、今回はちょっと色を迷われてましたよね? 最初は赤系になる案もありましたけど。

小岐須 通ってるものが何なのか、というところで、
いろんな色で描いてたんですよ。
生命的な何かってことで、
「地球の血管」みたいなイメージで、
最初は赤っぽくしたんだけど、
やっぱり人間の血液と同じ色ではないだろうと
思ったので、今の色に変えました。
五月女 へぇ~。でもオシャレですよね。
寺田 いつでもオシャレだよ!
小岐須 絵的なことで言うと、
岩が描きたかったんです。
寺田 岩が主役?今年は岩?
小岐須 いや(笑)、今年は建造物を描きたい。
女の子ももちろん描きますよ。
でも建造物をいっぱい描いていきたいですね。
それと、克也さんにはバレちゃったんですけど、
ピラミッドは光と影の絵ばかり描いてるんですよ。
寺田 ライトマジックだね!ライトマジック&オギス★
五月女 やるな~。なんか、
エロエロ言ってた自分が恥ずかしい……。
寺田 恥ずかしくないよ!オレはエロでいくよ!
五月女 あはははは。

──では最後に寺田さんの設定を伺いましょうか。

寺田 遅くなってスミマセンでした!超エロですよ!

──そうですね、全裸(笑)。おばあちゃんが100と書かれた旗を持ってますね。

寺田 これは100年に一度行なわれる100歳のお祭りですよ。
まあ、実際は100歳に限定すると集まらないので、
80歳を過ぎたら参加していい。
この時ばかりは、みんな死んでもいいと
思ってるから、凄い。

───踊り狂ってますね〜。

寺田 もう、すごい死亡率。
でも、ここで死ぬのはハッピー。
小岐須 これは音楽が流れてるんですか?テクノとか?
寺田 テクノじゃないな。
ちょっと地響きのような
興奮せざるをえないような……。
ドドドドドォォォォォッ……!
小岐須 そんな感じなんだ(笑)。
ばあさんが太鼓叩いてんの?
寺田 太鼓叩いてんのは若い男ですね。
五月女 良いですね。
小岐須 じゃあ、若い男はおばあちゃんの裸体を見てるんだ。
それはトラウマになりませんか?
寺田 なりませんよ、そんな(怒)!
うちのばあちゃんが、あんなに跳ねて
躍って凄い、って……(涙声)。

──このお祭りはどこで開催されてるんですかね。

小岐須 わかってるだろう(笑)。
寺田 多摩川の上流のほうですね。
一同 (爆笑)
五月女 山のほうなんだ(笑)。東京じゃないの?
寺田 いや、もう次元がズレて、
いろんな時代の100歳が集まってるから、
空間的にはどこなのか、よくわからないですねえ。
小岐須 黄泉と繋がってるんだ(笑)。
五月女 踊りながら逝っちゃうんだ(笑)。
寺田 そうなんですよ。
五月女 青い人とかは死んじゃってるのかな?
寺田 青いのは、単純にライティングの問題かな。
五月女 ライティングなんだ!すごいカラフルですね。
寺田 発光してるんですよ。地面が光り、
おばあさんが光り、パーツごとに光り。
そうやって、年寄りが最期に燃えるお祭りですよね。
100年に一回、燃えようよと。
で、この周りでは若い人たちが集まって……
子供をつくってます!
五月女 あははは。
小岐須 ええっ(笑)?
寺田 次に繋がる祭りなんですよ。
ここで子供をつくると、そのおばあさんたちの
魂が宿ると言われてるんです。
その日は、みんな大変なことになってますね。
それはそれは凄いことに。そういう、
生(性)に満ちたお祭りですね。
小岐須 ベッドメーカーがスポンサーに
ついたりしないんですか?
寺田 それは無いですね。
もうアオカンですよ、山々で。
阿鼻叫喚ですよ。その叫び声を聞きながら、
朝まで踊るわけですよ。

──凄まじいですね(笑)。そして、みなさん、かなり自由に踊ってますね。

寺田 型は無いんで、みんな心から湧き出る動きで。
動けない人は動けないなりに跳ねまくり。

──体型も様々ですね。

寺田 おばさんにはね、
ひとりとして同じおばあさんはいないんだ!

──みんな、可愛いですね。

寺田 可愛く描きました。
五月女 克也さんは、おばあさんの裸を
見る機会があるんですか?
寺田 それは、ないですよ。
五月女 でも結構、合ってると思う。
寺田 それはデッサンの賜物ですよ。人体把握!
もう、どこが垂れるかなんて
わかるわけですよ。
五月女 わかるんだー。
銭湯にいるおばさんもこんな感じだよね。
寺田 人体でどこが垂れていくかは、
ほとんどの人は一緒なので、
細かいシワはもちろん違うけど、
どう垂れるかっていうのはわかります。
まあ、おっぱいは上めに描きましたけどね。
本当はもっと、「ヘソ隠れるかな」くらいの
人もいっぱいいるんですけど。
今回は上げてみました、この瞬間は若さが戻るからね。
ホルモンが分泌されて、40、50代くらいの
生命力を取り戻す。最期に燃えるお祭りですからね。
翌日からは誰も動かない。
縁側に座って「終えたね」って。
小岐須 「鈴木さん、燃え尽きちゃったね」って(笑)。
寺田 そういう感じです。
本当は100人描きたかったんですけど、
全部で50人くらいですかね。
五月女 お祭りの時、おじいさんは
どうしてるんですか?
寺田 おじいさんは、どうでもいいですよね。
おばあさんが家にいない間にそーっと……。
小岐須 ええっ??
寺田 女の祭りですからね。

──このお祭りは見学できるんですか?

寺田 見学は自由ですよ。
小岐須 じゃあ、ニュースでも
「100年に一度の祭りが開催されました!」
って感じなんすかね?

──流していいニュースなんですかね(笑)?

小岐須 モザイクだらけですよ(笑)!
寺田 もう、ロングで望遠ですよ。
山全体がもわ~っと光って
渦巻いてるわけですよ。
それはそれは壮観ですよ。
街から見ても雲に光が反射して、モワモワしてね。
それを見ながらお酒を飲むわけですよ。
生命の光ですから大変なもんですよ。
で、似たような祭りが
世界中で行なわれてると思います。

──日本は多摩川上流なわけですね。

寺田 最初に起こったのは多摩川ですね。
小岐須 なるほどね(笑)。
五月女 ふふふ。

──今回はおばあちゃんがファンキーに踊り狂うお祭りだから、こんなサイケデリックな色彩なんですか?

寺田 もう薬やってる感じの色合いになってますね。
小岐須 アドレナリン出まくってる感じですよね。
寺田 まあ、バケツツールなんですけどね。
色をカチッとやると、
線の中がピュッと塗れるんですよ。
一番ラクなPhotoshopの色塗り方法です。
最近、ちょっとバケツが好きで。
逆に、バケツでいいんじゃないかと。
五月女 本当(笑)?
寺田 バケツで単色をボンボン置いていって、
上から1枚レイヤーをつくって
グラデーションをかけてます。
で、重ねるメソッドを色々変えてみて、
下の色に影響させると、こういうふうに、
ちょっと奥行きがでるわけですね。デジタルテク!
五月女 へ~え!デジタルテク!
寺田 そう、デジタルテク!
しかもバケツツールで(笑)。原点回帰ですね。
五月女 原点回帰か~(笑)。
寺田 やっぱりPhotoshopが使われるようになった頃って、
みんな一瞬で色を塗れることに、
すごく感動したわけですよね。
だからバケツツールを使ってる人が
すごく多かった。それでペターッとした
平面的な絵も多かったんだけど、
今はバケツツールを使う人がほとんどいないので、
逆に面白いかなと思って。
それに線画を見せたい場合は、むしろ色が
フラットに塗られているほうが良いですしね。
もう、バケツツール最高だなって!
小岐須 俺はバケツじゃないですけど、
パーツごとに選択してベタで
色を入れてますよ。
寺田 バーンとね。バケツだと偶発性があるんだよね。
線がちゃんと閉じてないと、他の部分にも
色が漏れちゃうので、
漏れるのを前提でやるんですよ。
小岐須 ここ、漏れてるよね。
五月女 本当だー。面白ーい!
寺田 それで、ピンク色のところは偶然
ハートっぽい形になったりしてね。
もちろん、あとで調整はするんだけど、
基本は偶然を狙って、作為的になりすぎないように
バケツを置いていってますね。
五月女 へぇ~(笑)。
寺田 塗り残しも気にしないで。
あとで一枚レイヤーを重ねるので、
白く残ることも無いし。
まあ、残ってもいいやっていう
乱暴な色塗り方法を楽しむという。
テクニック的にもね。いやいや、
デジタルを五月女くんに教えないとね。
五月女 うふふ。
小岐須 バケツツールばっか使い始めてね。
寺田 五月女もバケツになったな、って。
「五月女ラクしてる」って、
2ちゃねるにもスレッドが立ってね。
小岐須 でも、デジタルのベタ塗りはラクだよ。
俺はバケツではないけど、選択して
一発で色を入れてるところもある。
俺の場合は平面と立体が全部バラバラだから、
手で塗るところもあるんだけど。

──ベタを一発で入れたあと、手塗りでタッチを付けるということですよね。

寺田 五月女の場合だったら、紙肌の写真を撮って取り込んで、
あとから重ねたりしてもいいだろうしね。
五月女 そんなこともできるの?
小岐須 俺も服の白い部分は、自分で描いた柄を
取り込んでテクスチャにしてるよ。
五月女 本当だ!

──ブラシにパターン登録をされてる方もいますよね。

寺田 うん。それもできるから、
完成イメージをどうしたいかだよね。
小岐須 デジタルは人によって全然違うからね。
五月女 じゃあ、私が絵具で塗ったものを
取り込んで使ってもいいんだ。
寺田 うん、それもアリ。
小岐須 俺もグラデは、自分が絵具で描いたのを
データにして使ってるよ。
指で描く子供用の絵具があって、
それでグラデをつくって取り込んでる。
寺田 アナログから印象を変えたいのか
変えたくないのかで、
色々やり方は違ってくると思うよ。
変わりたいの?変わりたくないの?どっちなの?
五月女 あははは。
寺田 オレは変わりたくなかったら、
Painterにしたんですけどね。
当時使っていたマーカーであるとか
絵具であるとかの質感のまま仕事ができるな、
と思ったので。だから最初の頃はデジタルに
なったことに気づかれなかったですよ。
当時はデジタルを知らない人も多かったし、
知っていてもPhotoshopみたいなテカッとした
質感がデジタルだと思っている人が多かったから。
未だに「手で描いてるのかと思いました!」と、
言われることがあるし。
五月女 そっかあ……奥が深い!

──今日は勉強になる話がたくさん出てきて素晴らしいですね。

五月女 ねえ。
寺田 生涯勉強っすよ!

本日のラクガキ

五月女さんのラクガキ①
寺田さんと小岐須さんに、デジタルテクニックの話を聞きながら描いたラクガキ。可愛いキャラクターたちの脇に、気になるソフトのメモ書きが……。

五月女さんのラクガキ②
飲んでいた紅茶のカップにインスパイアされ、鳥のパターンや馬に乗る青年など、五月女さんには珍しいタイプのラクガキが完成!可愛いです。

寺田さんのラクガキ
エロ宣言に偽りのないラクガキを描いてくれました。凛とした佇まいとエロスが融合した緻密なペン画は、ラクガキというより、このまま仕事絵になりそうです。

小岐須さんのラクガキ
ラクガキでも遺憾なくお家芸を発揮し、小岐須さんらしい女の子のラクガキを描いてくれました。

sketchtimeで彩色
最近の小岐須さんは「sketchtime」というiPhone/iPad用のアプリにハマっているそう。これは上のラクガキをiPhoneで撮影して取り込み、携帯で手塗りしたもの。色調も質感も普段の絵とは異なる味わいがあり、新鮮です。

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