対決
(投稿者:神奈川県・鶴岡範之)
──今回のテーマは「100年に一度だけ行う女だけの祭」です。一番原稿が早かったのは、去年のうちにあげてくれた五月女さんです。
寺田 |
スミマセン! |
小岐須 |
優秀ですな、オイ! |
五月女 |
ふふふ。去年の仕事は去年の内に済ませないとね(笑)。 |
小岐須 |
これ、五月女節が利いてるな~。 |
寺田 |
可愛い。そのままポスターに使えるよね。 |
小岐須 |
さては仕事に使おうとしてるだろ? |
五月女 |
この祭りがあれば、ぜひポスターに(笑)。 |
──気になって「山踏み祭」でググったら、同じ名前のお祭りがでてきましたよ。
五月女 |
え?そうなの? |
寺田 |
五月女、ポスター狙ってるな? |
|
一粒で二度美味しい仕事にしたな! |
五月女 |
えー(と、携帯で検索を開始)。あ、ホントだ。 |
|
重慶に住むミャオ族の伝統的な……だって。 |
|
外国なら、まあいっか。 |
寺田 |
これは山を踏むの? |
五月女 |
うん、山を踏む。SM的な |
小岐須 |
ええっ? |
寺田 |
SM?これはどこの山? |
──富士山ですか?
五月女 |
架空の山ですね。富士山は女かもしれないから。 |
|
この山は男! |
小岐須 |
なるほどね。「男を踏みつけてやる!」って |
|
心情なんだ(笑)。 |
五月女 |
違うよ。SMだから「快楽をあげるよ」ってほうだよ。 |
|
だから100年焦らすという、焦らしプレイですよ。 |
寺田 |
100年に一度しか踏んでくれないんだね。 |
|
そこで全員が踏んでくれる最高の祭りだ、と。 |
五月女 |
女という女がね(笑)。 |
──山踏み祭には何人くらいの女性が参加しているんですか?
五月女 |
もう、結構な人数ですよ。 |
|
本当はもっと描いたほうがいいんですけどね。 |
|
選ばれた千人くらいかな。映画化の際は、 |
|
一万人くらいに集まってもらってね。 |
小岐須 |
あはははははははははは! |
|
これ、映画化も狙ってるんだ(笑)。 |
寺田 |
なるほどねー。 |
|
でも、今回は本領発揮な感じがするよね。 |
五月女 |
最近、なまけてると思われそうな |
|
絵ばっかり描いてたからさ。 |
小岐須 |
自分で言っちゃうんだ(笑)。 |
寺田 |
この絵にクイズは無いのかい? |
五月女 |
今回は無いですね。 |
──でも、この可愛い絵をパッと見た時にSMとは思わないから、
ある意味クイズかもしれないですね。
寺田 |
山が射精してますからね、赤いけど。 |
|
踏まれて赤いんでしょうねえ。血尿だね! |
五月女 |
100年に一度だから、相当我慢してたんだね(笑)。 |
寺田 |
カワイイ~。 |
|
これは、やっぱり服の下は裸ですよね? |
五月女 |
いや、だからね、本当は裸も |
|
アリだなと思ってたんだけど……。 |
寺田 |
まあ、オレとかぶるしね。 |
五月女 |
一応、私のほうが先に提出してるけどね(笑)。 |
|
これは結構美人じゃないと踏めないんですよ。 |
|
選ばれた者だけが踏める。 |
寺田 |
これ、鞭? |
五月女 |
そう、鞭。 |
小岐須 |
なに?そんなフェティッシュな感じなの?? |
五月女 |
そうだよ。 |
寺田 |
これは百目蝋燭? |
五月女 |
そうそう。 |
寺田 |
完全なSMじゃないか! |
小岐須 |
SMの起源がコレだったりするんじゃないの? |
五月女 |
そうだね、きっと(笑)。 |
寺田 |
緊縛、鞭、蝋燭!素晴らしいな~。 |
五月女 |
今年は、ちゃんと下ネタを |
|
解禁していこうと思って。 |
寺田 |
この連載をエロで埋め尽くしてね。 |
五月女 |
これからはエロしか描かない! |
──ええっ! 「しか」ですか?
五月女 |
ふふふ。 |
寺田 |
着物は少しシースルーっぽい感じなの? |
五月女 |
そう。だから隠れたエロス。 |
小岐須 |
ちょっと濡れてるっぽいよね、肌色が透けて。 |
五月女 |
だんだん濡れてくるからね。 |
寺田 |
汗でね。 |
小岐須 |
これからが凄いんだ(笑)! |
五月女 |
イメージとしては日活的な感じです。 |
寺田 |
宣伝ポスターには「飛び散る汗!」ってね。 |
小岐須 |
ありそ~(笑)。 |
五月女 |
日活で映画化したいな~。 |
寺田 |
「秘められた想いが今、爆発する──!」 |
|
そんな感じですね。 |
五月女 |
お祭りの喧噪のなかで、 |
|
いろんなドラマが起きるわけですよ。 |
寺田 |
いいね~! |
──今回のテーマをお送りした時に、すぐに「SMだ!」と思ったんですか?
五月女 |
いや、色々アイディアは出しましたね。 |
小岐須 |
でもSMに落ち着いたんだ(笑)。 |
|
これから、ずっとSMでいくの? |
五月女 |
いや、いろんなエロを。 |
寺田 |
時代はエロだから。 |
小岐須 |
そうなの(笑)? |
寺田 |
当然ですよ。オレは去年からエロですから。 |
|
エロで本を出し(※『エロ×メカ』)、 |
|
エロで展覧会をしましたからね |
|
(※空山基×Rockin'Jelly Bean×寺田克也 |
|
『Pussycat! Kill! Kill! kill!』~3バチ展)。 |
|
去年がエロ元年ですよ、エロガン! |
|
もともと、エロマンガ誌(※「激漫」)の |
|
表紙絵を描いてましたしね。 |
五月女 |
そうなの? |
小岐須 |
そのエロマンガで、俺は初めて |
|
寺田克也を知ったんだよ。 |
|
だから、そもそもがエロっすよね。 |
|
漫画もちょっと描いてましたよね? |
寺田 |
『ちんこ姫』を描きましたね。泣ける話でね……。 |
五月女 |
え?泣けるの?見たーい! |
小岐須 |
泣けない泣けない(笑)。 |
寺田 |
何言ってるんだよ!全米が泣いたよ! |
五月女 |
『山踏み祭』も全米が泣いたよ! |
寺田 |
アジアン・ビューティー好きな欧米人がウハウハですよ。 |
五月女 |
ショーン・コネリーが出ててね……。 |
小岐須 |
え、日本人じゃないんだ(笑)? |
寺田 |
ショーン・コネリーが祭りに来るところから |
|
映画が始まるんですよ。 |
小岐須 |
リチャード・ギアが来そうだけど! |
寺田 |
今だったら誰かな。ブラッド・ピットとか? |
五月女 |
ヒュー・グラントが好きだから、 |
|
ヒュー・グラントがいいなあ。 |
寺田 |
中年の魅力がね。ヒュー・グラントは、 |
|
この山を登っちゃいけないことを |
|
知らなかったんだよね。 |
五月女 |
そう、男は入っちゃいけないの。 |
小岐須 |
話がデケェよ!ハリウッドなんだ(笑)。 |
五月女 |
ハリウッドですね。 |
寺田 |
日活はイメージだから。 |
五月女 |
日活の映画を元にして、 |
|
ハリウッドでリメイクされたんです。 |
寺田 |
イイネ~。 |
|
今年の広がりを感じさせるスケール感ですね。 |
|
五月女ケイ子、渾身の意欲作!2015年! |
──また新しい扉が開きましたね。
寺田 |
これまでに増して楽しみだね。 |
|
「山踏み祭」でLINEのスタンプ作ったらいいんじゃない? |
|
「踏んでいくよ~☆」とかね。 |
|
全然どこで使うかわかんないけど! |
五月女 |
欲しいね~(笑)。 |
寺田 |
「欲しいね~」じゃなくて、ケイ子がつくるんだよ! |
五月女 |
ふふふ。次はまーくん? |
|
これ、かっこいいね。 |
寺田 |
ね、クラフトワークみたいなね。 |
──お家芸ですね。
小岐須 |
横顔を描くと、僕の場合も手を抜いてる |
|
感じに見えるかもですけど… |
寺田 |
コピペ? |
小岐須 |
いや、コピペじゃない(笑)。ちゃんと描きました。 |
|
これはね、100年に一度、 |
|
選ばれた女の子たちが山に連れてかれて… |
寺田 |
山? |
五月女 |
山?? |
──山繋がり??
小岐須 |
うん(笑)。山の中の洞窟に連れて行かれて |
|
見てはいけないものを見せられる祭り。 |
|
光の筋が入っているのは、 |
|
見てはいけないものが通ってるから。 |
寺田 |
見てはいけないものと言うと…… |
|
お父さんとお母さんの……? |
小岐須 |
いやいや、そういうんじゃなくて(笑)! |
|
百鬼夜行なのか地獄を見せられているのか……。 |
|
これは色素が薄い子たちが集められているんですよ。 |
──アルビノということですか?
小岐須 |
そうです。アルビノの女の子を集めて、 |
|
13人ずつ並んで何かを見せられる。 |
|
声を出しちゃいけないから、 |
|
みんな黙ってるんですよ。 |
寺田 |
13という数字には何か意味があるんですか。 |
小岐須 |
方角の12方位に天を入れて13。 |
寺田 |
なんで100年に一度なの? |
小岐須 |
見たら見たで、この人たちが |
|
バラしちゃうじゃないですか。 |
|
「こんなものを見た」と。 |
寺田 |
ツイッターで? |
小岐須 |
まあ(笑)、そうなると地獄があるとか |
|
百鬼夜行を見たらしいとか、 |
|
噂が色々広がるから、それが100年経って |
|
風化した頃に、また開催される。 |
──これはエロ的な要素は無いんですか?
小岐須 |
エロ的なものは無い。 |
寺田 |
え~。無いんだ~。 |
五月女 |
えー。無いのー?裸でしょう? |
小岐須 |
裸じゃない(笑)。服着てる。 |
|
服も特に決まりは無くて、みんな同じ服を |
|
着てればいいので、毎回変わっていくんですよ。 |
寺田 |
見るだけ祭りか! |
小岐須 |
そう、見るだけ祭り。大々的にやるんじゃなくて、 |
|
選ばれた人たちだけでひっそりと。 |
──アルビノ以外に選ばれる条件はあるんですか?
小岐須 |
年端のいかない女の子。もしかしたら、 |
|
生命的な何かを見せられてるのかもしれないなあ。 |
寺田 |
ええっ!お父さんとお母さんの? |
小岐須 |
いやいや、育みじゃなくて(笑)、もっと根源的な |
|
何かを見せられてるんじゃないかって。 |
五月女 |
根源的な?なになに?気になる。 |
小岐須 |
地球の…大地の…流脈の… |
寺田 |
ガイアの交ぐわい? |
小岐須 |
そうそう。 |
寺田 |
スケールでかいね。交ぐわい側の絵を見たかったなー。 |
小岐須 |
この子たちの先にはあるけど、もう絵には描けない。 |
|
描いちゃいけないんですよ! |
五月女 |
出店とか出ないの? |
小岐須 |
出店は出ない(笑)。ひっそりやるから。 |
寺田 |
ひっそり祭りか~。 |
小岐須 |
洞窟の外では、みんなが集まって |
|
わーわーメシ食ってるとは思うんだけど。 |
|
で、アルビノばかりが集まってると、世間からは |
|
「この色素の薄い人たちは何をしてるんだろう?」と |
|
不審に思われるから、わからないように |
|
そーっと連れてくる。 |
──真ん中の女の子の顎が光っているのは何故でしょう?
小岐須 |
この子だけ顎のところに、 |
|
ちょっとパッチが着いてる。 |
寺田 |
喉の拡張? |
小岐須 |
もう、それでいいです(笑)。 |
|
まあ、今回は至って真面目に描きました。 |
五月女 |
これは映像が流れてるの?だから光ってるの? |
小岐須 |
いや、何かが通ってるんですよ。 |
寺田 |
じゃあ、発光してるものなんだ。 |
小岐須 |
何か、人ならざるものが通ってる。 |
|
で、見ているのがアルビノなのは、そうしないと、 |
|
あっちに気づかれるからなんですよ。 |
寺田 |
あ、そうなんだ。その設定は…… |
|
いきなり出てきたねえ(笑)。 |
|
でも説得力が増しましたね。 |
小岐須 |
これは男の人も |
|
見たことがないものなんですよ。 |
寺田 |
保健の授業みたいなもんだね。 |
|
「なんの話してんだろうな!」って。 |
五月女 |
あははは。 |
──この光景を見たことによって、アルビノの女の子たちの身に、何か変化は起きるんですか?
寺田 |
それだ! |
小岐須 |
何かあるんだと思う。 |
寺田 |
でも自覚はないんだ? |
|
見たことも忘れるくらいのインパクト! |
小岐須 |
そうですね。まあ、学者たちはこの祭りについて、 |
|
諸説立ててるらしいですけどね。 |
|
アルビノの子たちのなかにも、 |
|
自分たちが見たものを研究するために |
|
学者になる子がいるみたいですよ。 |
寺田 |
なるほど。マサチューセッツ工科大にね! |
──ところで、今回はちょっと色を迷われてましたよね? 最初は赤系になる案もありましたけど。
小岐須 |
通ってるものが何なのか、というところで、 |
|
いろんな色で描いてたんですよ。 |
|
生命的な何かってことで、 |
|
「地球の血管」みたいなイメージで、 |
|
最初は赤っぽくしたんだけど、 |
|
やっぱり人間の血液と同じ色ではないだろうと |
|
思ったので、今の色に変えました。 |
五月女 |
へぇ~。でもオシャレですよね。 |
寺田 |
いつでもオシャレだよ! |
小岐須 |
絵的なことで言うと、 |
|
岩が描きたかったんです。 |
寺田 |
岩が主役?今年は岩? |
小岐須 |
いや(笑)、今年は建造物を描きたい。 |
|
女の子ももちろん描きますよ。 |
|
でも建造物をいっぱい描いていきたいですね。 |
|
それと、克也さんにはバレちゃったんですけど、 |
|
ピラミッドは光と影の絵ばかり描いてるんですよ。 |
寺田 |
ライトマジックだね!ライトマジック&オギス★ |
五月女 |
やるな~。なんか、 |
|
エロエロ言ってた自分が恥ずかしい……。 |
寺田 |
恥ずかしくないよ!オレはエロでいくよ! |
五月女 |
あはははは。 |
──では最後に寺田さんの設定を伺いましょうか。
──そうですね、全裸(笑)。おばあちゃんが100と書かれた旗を持ってますね。
寺田 |
これは100年に一度行なわれる100歳のお祭りですよ。 |
|
まあ、実際は100歳に限定すると集まらないので、 |
|
80歳を過ぎたら参加していい。 |
|
この時ばかりは、みんな死んでもいいと |
|
思ってるから、凄い。 |
───踊り狂ってますね〜。
寺田 |
もう、すごい死亡率。 |
|
でも、ここで死ぬのはハッピー。 |
小岐須 |
これは音楽が流れてるんですか?テクノとか? |
寺田 |
テクノじゃないな。 |
|
ちょっと地響きのような |
|
興奮せざるをえないような……。 |
|
ドドドドドォォォォォッ……! |
小岐須 |
そんな感じなんだ(笑)。 |
|
ばあさんが太鼓叩いてんの? |
寺田 |
太鼓叩いてんのは若い男ですね。 |
五月女 |
良いですね。 |
小岐須 |
じゃあ、若い男はおばあちゃんの裸体を見てるんだ。 |
|
それはトラウマになりませんか? |
寺田 |
なりませんよ、そんな(怒)! |
|
うちのばあちゃんが、あんなに跳ねて |
|
躍って凄い、って……(涙声)。 |
──このお祭りはどこで開催されてるんですかね。
小岐須 |
わかってるだろう(笑)。 |
寺田 |
多摩川の上流のほうですね。 |
一同 |
(爆笑) |
五月女 |
山のほうなんだ(笑)。東京じゃないの? |
寺田 |
いや、もう次元がズレて、 |
|
いろんな時代の100歳が集まってるから、 |
|
空間的にはどこなのか、よくわからないですねえ。 |
小岐須 |
黄泉と繋がってるんだ(笑)。 |
五月女 |
踊りながら逝っちゃうんだ(笑)。 |
寺田 |
そうなんですよ。 |
五月女 |
青い人とかは死んじゃってるのかな? |
寺田 |
青いのは、単純にライティングの問題かな。 |
五月女 |
ライティングなんだ!すごいカラフルですね。 |
寺田 |
発光してるんですよ。地面が光り、 |
|
おばあさんが光り、パーツごとに光り。 |
|
そうやって、年寄りが最期に燃えるお祭りですよね。 |
|
100年に一回、燃えようよと。 |
|
で、この周りでは若い人たちが集まって…… |
|
子供をつくってます! |
五月女 |
あははは。 |
小岐須 |
ええっ(笑)? |
寺田 |
次に繋がる祭りなんですよ。 |
|
ここで子供をつくると、そのおばあさんたちの |
|
魂が宿ると言われてるんです。 |
|
その日は、みんな大変なことになってますね。 |
|
それはそれは凄いことに。そういう、 |
|
生(性)に満ちたお祭りですね。 |
小岐須 |
ベッドメーカーがスポンサーに |
|
ついたりしないんですか? |
寺田 |
それは無いですね。 |
|
もうアオカンですよ、山々で。 |
|
阿鼻叫喚ですよ。その叫び声を聞きながら、 |
|
朝まで踊るわけですよ。 |
──凄まじいですね(笑)。そして、みなさん、かなり自由に踊ってますね。
寺田 |
型は無いんで、みんな心から湧き出る動きで。 |
|
動けない人は動けないなりに跳ねまくり。 |
──体型も様々ですね。
寺田 |
おばさんにはね、 |
|
ひとりとして同じおばあさんはいないんだ! |
──みんな、可愛いですね。
寺田 |
可愛く描きました。 |
五月女 |
克也さんは、おばあさんの裸を |
|
見る機会があるんですか? |
寺田 |
それは、ないですよ。 |
五月女 |
でも結構、合ってると思う。 |
寺田 |
それはデッサンの賜物ですよ。人体把握! |
|
もう、どこが垂れるかなんて |
|
わかるわけですよ。 |
五月女 |
わかるんだー。 |
|
銭湯にいるおばさんもこんな感じだよね。 |
寺田 |
人体でどこが垂れていくかは、 |
|
ほとんどの人は一緒なので、 |
|
細かいシワはもちろん違うけど、 |
|
どう垂れるかっていうのはわかります。 |
|
まあ、おっぱいは上めに描きましたけどね。 |
|
本当はもっと、「ヘソ隠れるかな」くらいの |
|
人もいっぱいいるんですけど。 |
|
今回は上げてみました、この瞬間は若さが戻るからね。 |
|
ホルモンが分泌されて、40、50代くらいの |
|
生命力を取り戻す。最期に燃えるお祭りですからね。 |
|
翌日からは誰も動かない。 |
|
縁側に座って「終えたね」って。 |
小岐須 |
「鈴木さん、燃え尽きちゃったね」って(笑)。 |
寺田 |
そういう感じです。 |
|
本当は100人描きたかったんですけど、 |
|
全部で50人くらいですかね。 |
五月女 |
お祭りの時、おじいさんは |
|
どうしてるんですか? |
寺田 |
おじいさんは、どうでもいいですよね。 |
|
おばあさんが家にいない間にそーっと……。 |
小岐須 |
ええっ?? |
寺田 |
女の祭りですからね。 |
──このお祭りは見学できるんですか?
寺田 |
見学は自由ですよ。 |
小岐須 |
じゃあ、ニュースでも |
|
「100年に一度の祭りが開催されました!」 |
|
って感じなんすかね? |
──流していいニュースなんですかね(笑)?
小岐須 |
モザイクだらけですよ(笑)! |
寺田 |
もう、ロングで望遠ですよ。 |
|
山全体がもわ~っと光って |
|
渦巻いてるわけですよ。 |
|
それはそれは壮観ですよ。 |
|
街から見ても雲に光が反射して、モワモワしてね。 |
|
それを見ながらお酒を飲むわけですよ。 |
|
生命の光ですから大変なもんですよ。 |
|
で、似たような祭りが |
|
世界中で行なわれてると思います。 |
──日本は多摩川上流なわけですね。
寺田 |
最初に起こったのは多摩川ですね。 |
小岐須 |
なるほどね(笑)。 |
五月女 |
ふふふ。 |
──今回はおばあちゃんがファンキーに踊り狂うお祭りだから、こんなサイケデリックな色彩なんですか?
寺田 |
もう薬やってる感じの色合いになってますね。 |
小岐須 |
アドレナリン出まくってる感じですよね。 |
寺田 |
まあ、バケツツールなんですけどね。 |
|
色をカチッとやると、 |
|
線の中がピュッと塗れるんですよ。 |
|
一番ラクなPhotoshopの色塗り方法です。 |
|
最近、ちょっとバケツが好きで。 |
|
逆に、バケツでいいんじゃないかと。 |
五月女 |
本当(笑)? |
寺田 |
バケツで単色をボンボン置いていって、 |
|
上から1枚レイヤーをつくって |
|
グラデーションをかけてます。 |
|
で、重ねるメソッドを色々変えてみて、 |
|
下の色に影響させると、こういうふうに、 |
|
ちょっと奥行きがでるわけですね。デジタルテク! |
五月女 |
へ~え!デジタルテク! |
寺田 |
そう、デジタルテク! |
|
しかもバケツツールで(笑)。原点回帰ですね。 |
五月女 |
原点回帰か~(笑)。 |
寺田 |
やっぱりPhotoshopが使われるようになった頃って、 |
|
みんな一瞬で色を塗れることに、 |
|
すごく感動したわけですよね。 |
|
だからバケツツールを使ってる人が |
|
すごく多かった。それでペターッとした |
|
平面的な絵も多かったんだけど、 |
|
今はバケツツールを使う人がほとんどいないので、 |
|
逆に面白いかなと思って。 |
|
それに線画を見せたい場合は、むしろ色が |
|
フラットに塗られているほうが良いですしね。 |
|
もう、バケツツール最高だなって! |
小岐須 |
俺はバケツじゃないですけど、 |
|
パーツごとに選択してベタで |
|
色を入れてますよ。 |
寺田 |
バーンとね。バケツだと偶発性があるんだよね。 |
|
線がちゃんと閉じてないと、他の部分にも |
|
色が漏れちゃうので、 |
|
漏れるのを前提でやるんですよ。 |
小岐須 |
ここ、漏れてるよね。 |
五月女 |
本当だー。面白ーい! |
寺田 |
それで、ピンク色のところは偶然 |
|
ハートっぽい形になったりしてね。 |
|
もちろん、あとで調整はするんだけど、 |
|
基本は偶然を狙って、作為的になりすぎないように |
|
バケツを置いていってますね。 |
五月女 |
へぇ~(笑)。 |
寺田 |
塗り残しも気にしないで。 |
|
あとで一枚レイヤーを重ねるので、 |
|
白く残ることも無いし。 |
|
まあ、残ってもいいやっていう |
|
乱暴な色塗り方法を楽しむという。 |
|
テクニック的にもね。いやいや、 |
|
デジタルを五月女くんに教えないとね。 |
五月女 |
うふふ。 |
小岐須 |
バケツツールばっか使い始めてね。 |
寺田 |
五月女もバケツになったな、って。 |
|
「五月女ラクしてる」って、 |
|
2ちゃねるにもスレッドが立ってね。 |
小岐須 |
でも、デジタルのベタ塗りはラクだよ。 |
|
俺はバケツではないけど、選択して |
|
一発で色を入れてるところもある。 |
|
俺の場合は平面と立体が全部バラバラだから、 |
|
手で塗るところもあるんだけど。 |
──ベタを一発で入れたあと、手塗りでタッチを付けるということですよね。
寺田 |
五月女の場合だったら、紙肌の写真を撮って取り込んで、 |
|
あとから重ねたりしてもいいだろうしね。 |
五月女 |
そんなこともできるの? |
小岐須 |
俺も服の白い部分は、自分で描いた柄を |
|
取り込んでテクスチャにしてるよ。 |
──ブラシにパターン登録をされてる方もいますよね。
寺田 |
うん。それもできるから、 |
|
完成イメージをどうしたいかだよね。 |
小岐須 |
デジタルは人によって全然違うからね。 |
五月女 |
じゃあ、私が絵具で塗ったものを |
|
取り込んで使ってもいいんだ。 |
寺田 |
うん、それもアリ。 |
小岐須 |
俺もグラデは、自分が絵具で描いたのを |
|
データにして使ってるよ。 |
|
指で描く子供用の絵具があって、 |
|
それでグラデをつくって取り込んでる。 |
寺田 |
アナログから印象を変えたいのか |
|
変えたくないのかで、 |
|
色々やり方は違ってくると思うよ。 |
|
変わりたいの?変わりたくないの?どっちなの? |
五月女 |
あははは。 |
寺田 |
オレは変わりたくなかったら、 |
|
Painterにしたんですけどね。 |
|
当時使っていたマーカーであるとか |
|
絵具であるとかの質感のまま仕事ができるな、 |
|
と思ったので。だから最初の頃はデジタルに |
|
なったことに気づかれなかったですよ。 |
|
当時はデジタルを知らない人も多かったし、 |
|
知っていてもPhotoshopみたいなテカッとした |
|
質感がデジタルだと思っている人が多かったから。 |
|
未だに「手で描いてるのかと思いました!」と、 |
|
言われることがあるし。 |
五月女 |
そっかあ……奥が深い! |
──今日は勉強になる話がたくさん出てきて素晴らしいですね。
本日のラクガキ
五月女さんのラクガキ①
寺田さんと小岐須さんに、デジタルテクニックの話を聞きながら描いたラクガキ。可愛いキャラクターたちの脇に、気になるソフトのメモ書きが……。
五月女さんのラクガキ②
飲んでいた紅茶のカップにインスパイアされ、鳥のパターンや馬に乗る青年など、五月女さんには珍しいタイプのラクガキが完成!可愛いです。
寺田さんのラクガキ
エロ宣言に偽りのないラクガキを描いてくれました。凛とした佇まいとエロスが融合した緻密なペン画は、ラクガキというより、このまま仕事絵になりそうです。
小岐須さんのラクガキ
ラクガキでも遺憾なくお家芸を発揮し、小岐須さんらしい女の子のラクガキを描いてくれました。
sketchtimeで彩色
最近の小岐須さんは「sketchtime」というiPhone/iPad用のアプリにハマっているそう。これは上のラクガキをiPhoneで撮影して取り込み、携帯で手塗りしたもの。色調も質感も普段の絵とは異なる味わいがあり、新鮮です。