寺田 |
修正しろとか言われるんでしょ。オレ、背景描けとか。 |
小岐須 |
こんな鼻の人はいませんとか。 |
五月女 |
差別です、とか。 |
寺田 |
え~。そのうち修正を前提でお題を出すとかも良いよね。 |
寺田 |
言われたまま描いただけですよ。 |
五月女 |
意外と差が出るかと思ったら、そこまで出ませんよね。 |
寺田 |
出ない出ない。 |
小岐須 |
みんな、ちゃんと部族を描いてる。 |
寺田 |
オレのはね、多摩川の橋の下に住んでる。 |
小岐須 |
俺、アメリカに住んでる。 |
五月女 |
みんな、考えてるんだ! |
寺田 |
五月女さんのは新宿御苑に住んでる。 |
小岐須 |
俺、明治神宮に住んでるのかと思った。 |
五月女 |
緑が豊かな(笑)。 |
寺田 |
これはなに(手前の紫のギザギザ部分を指して)? |
五月女 |
草を衝撃的なイメージで。 |
寺田 |
なるほど~。 |
小岐須 |
あと、下出してるんだね。「キンタ」をそのまま取ってね。 |
寺田 |
これ、いいよね~。 |
五月女 |
みんな、このまま受け取らないと思ったから。 |
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モデルは、荒川良々さんです。荒川くんの体型が好きなんです。 |
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なぜか股間だけ隠さない荒川くんに似た部族を描きました。 |
寺田 |
これ、『キルラキル』って言われちゃうよ。 |
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このあいだの放送で光ってたよ。 |
五月女 |
これ、私が最初に考案したんですよ。記録しておいてくださいね。 |
寺田 |
キンタマ光らせるの? じゃあ、真似されたんじゃない? |
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今、真顔で言ったよ(笑)。 |
五月女 |
もう10年くらい前から光らせてます!商標登録しとかなきゃ。 |
寺田 |
ここに必ず「©五月女ケイ子」と入れろと。 |
小岐須 |
このクラッチバッグというかセカンドバッグは? |
五月女 |
あ、気づいてくれました? さすが。 |
小岐須 |
気づいたよ。五月女は現在と昔が混ざってる感じだね。 |
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克也さんは未来? |
寺田 |
いや、現在だけどね。多摩川にいる一人部族。 |
五月女 |
これも下が出てるの(小岐須さんの絵を指し)? |
小岐須 |
出てる出てる。 |
寺田 |
オレのも光る(自分の絵の股間を指し)。 |
五月女 |
奇遇だな~。みんな、キンタマか~。 |
小岐須 |
俺のは、拾ったTシャツの着方がわからないから、 |
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逆さまに着てるんですよ。で、首のところから出ちゃってる。 |
寺田 |
いいね~。 |
寺田 |
多摩川で生まれたからですよ。普通の家庭に育って。 |
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で、まあ定年になってから部族に……。 |
小岐須 |
60過ぎてこの体!? |
寺田 |
もう野生が長いから。懸垂とかして。 |
五月女 |
そっか~(笑)。 |
小岐須 |
……みんな、部族をはき違えてるよね(笑)。 |
寺田 |
いや、部族ですよ。仲間を探してるけど誰も見つからない。 |
五月女 |
この脚の部分は何? |
寺田 |
これはウエットスーツの脚のところじゃないかな、たぶん。 |
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脚に付いてるのは餃子の皮ですね。 |
五月女 |
餃子の皮!? |
寺田 |
これはカロリーメイト(膝に巻かれた棒状のものを指して)。 |
五月女 |
食料くっつけてんの? |
寺田 |
大事なことじゃないですか。部族だから。 |
小岐須 |
これはコンセントじゃないでしょ? |
寺田 |
これは海外の電化製品のものをそのまま流用してるんじゃないかな。 |
五月女 |
ディテールが細かいですねえ。 |
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私はどれだけ雰囲気でごまかすかだからなあ。 |
小岐須 |
生き様が出てる(笑)。 |
五月女 |
本当です(笑)。 |
小岐須 |
ここに赤入れるのがアバンギャルド。 |
五月女 |
赤入れとけば目立つだろ、って。 |
小岐須 |
俺はどれだけごまかさないか考えたのに。 |
寺田 |
オレも実人生をごまかしてばかりだから絵だけは。 |
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これはもうオレの姿ですよ。 |
小岐須 |
そうなの!? |
五月女 |
自己を投影しているんですね。 |
小岐須 |
俺は絶対にみんな外してくるだろうと思ったから、 |
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俺も外さなきゃと思ってるうちに部族のことを考えすぎちゃって。 |
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新しく発見されているわけだから絶対に |
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文明は入ってないじゃないですか。アメリカなんだけど、 |
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グランドキャニオンとかのその端のほうの穴の中で生活してる部族。 |
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だから見つからなかったという。spriteとFILAのTシャツは |
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ゴミとか拾ってきたのを着ていて、女の人が腰に巻いてるのは |
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シャツなんですよ。で、奥の女の子はアメリカ国旗を巻いてる。 |
寺田 |
アメリカが好きなんだね! |
小岐須 |
いやー。で、穴ばっか掘ってるから、目が退化して悪い。 |
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エスキモーみたいなサングラスをかけて、隙間の細い部分から覗くと |
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眩しくないっていう。女の人は髪の毛で目を隠してる。 |
寺田 |
設定がちゃんとしてるね! |
五月女 |
ちゃんとしてる。さすが長男! |
小岐須 |
で、装飾は全部先祖の骨やターコイズ。服はたまに |
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地上に出たときに拾ってくるんだけど、基本的には潜ってるから、 |
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地下に地下都市がある。で、水分を取るための根っこを持っていたり。 |
寺田 |
何人くらいいるんですか。 |
小岐須 |
まあ……数知れないですねえ。で、穴ばかり掘ってるから、 |
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体がちょっとゴツい……って真面目に考えました。 |
寺田 |
真面目だな~長男は~。 |
五月女 |
私のは、世界観は『水スペ』で。 |
寺田 |
アマゾン系ですか? |
五月女 |
はい。で、このカバンは、普段、普通の人はあまり入ってこない |
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奥地なんですけど、たまたま入ってきたサラ金業者みたいな人が |
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持っていて、良いなあと思って真似した(笑)。 |
寺田 |
かぶり物は藁とかですか? |
五月女 |
左の人は羽なんですけど……他は曖昧ですね。 |
寺田 |
この写真じゃ、ちょっとわからないですねえ。 |
五月女 |
この人たちがこの部族を見られたのも30秒くらいなんで。 |
寺田 |
ああ、なるほどね。一瞬の1枚しか押さえられなかったんだね。 |
五月女 |
『水スペ』的に。最初はネタで考えてたんだけど、やめて……。 |
寺田 |
ラクなほうにいったってことですか? |
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記録しておいてくださいね、「ラクなほうにいった」って。 |
五月女 |
いや(笑)、原点回帰です。そもそも、私の絵は昔の |
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「少年マガジン」とかのグラフ系から入っているので。 |
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最初に描いたのは『徹子の部屋』の「別の部屋」という部屋の |
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解剖図で、それが自分の絵の原点なんですよ。 |
寺田 |
なるほどねえ。この顔を見ると、今やもう「五月女ケイ子」ですもんね。 |
五月女 |
ちょうど原点回帰に相応しいお題だと思って。 |
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でも、ちゃんと、みんな設定考えるんだね。 |
寺田 |
オレは多摩川以外はさっき考えましたよ。設定好きだな~。 |
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小岐須設定好き。 |
小岐須 |
いや、他の仕事で細かく設定を考えて描くことがないから。 |
五月女 |
私、女の人の部族を描くかと思ってたけど、ところがドッコイ。 |
小岐須 |
女の人は他の仕事でたくさん描いてるんで。 |
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基本的に、俺はこの連載では女は描かない! |
寺田 |
じゃあ、今度「美女」ってお題で、なのに女の人を描かないって縛りで。 |
小岐須 |
そしたら、人の絵をすげえ模写する! |
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五月女は、字って最後に描いてるの? |
五月女 |
最後に描いてる。 |
寺田 |
最初から字を入れようと思ってた? |
五月女 |
原点回帰しようと思った時に入れようと思って。直球勝負。 |
寺田 |
オレも直球勝負。 |
小岐須 |
俺も。みんな直球勝負(笑)。 |
寺田 |
それは冷蔵庫ですよ。いつでも食べられるように。 |
五月女 |
餃子の皮は冷蔵庫に入ってなくて、脚に付いてるんですか? |
寺田 |
それは今日、拾ったヤツだから。 |
小岐須 |
テキトーだな(笑)。 |
寺田 |
聞かれれば何でも答えますよ。今考えてね。 |
寺田 |
それは儀式だから。 |
五月女 |
あー、そこが部族! |
寺田 |
平和を祈る儀式ですよ。 |
五月女 |
トイレは携帯してるってことですか? |
寺田 |
便座をね。川でする時にとりあえずこれを使う。 |
小岐須 |
みんな、なんで、これ聞かないの(股間に装着されたものを指して)? |
寺田 |
ここが時々光るんですけどね。 |
寺田 |
それはちょっと……まだよくわかってない。本人もよくわかってない。 |
小岐須 |
はははははははははは。 |
寺田 |
それは部族だからですよ。部族と言えば、頭と股間。 |
五月女 |
股間がね~。 |
小岐須 |
そこだけ共通してる(笑)。 |
五月女 |
でも、色々考えても大体、もういるんですよね。 |
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こんな部族ありえないだろうと思って、 |
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調べるとやっぱりいるんですよ。 |
寺田 |
オレね、このお題をもらう前に、アメリカのAmazonで偶然、 |
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世界中の部族の写真集を注文したんですよ。 |
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忘れていた頃に届いて、それを見たオギちゃんが「あ、ヤルキ満々だ!」 |
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と言ったんですけど、本当に今、五月女さんが言ったように、 |
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実在する部族のほうが自由なんで、 |
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そっち方面で描いても負けると思って。 |
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どうしてもいるバリエーションにしかならないから。 |
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これは、もう多摩川で電化製品だろうと。 |
小岐須 |
どっかの量販店みたいなことを(笑)。 |
五月女 |
股間を隠さない部族もいると思うんですよね。 |
寺田 |
いるんですよ。ほぼ全裸の部族もいる。 |
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大体、こういう格好をしている部族でも、何かがある時にしか着ない。 |
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普段は、腰布だけとかTシャツとか。 |
小岐須 |
正装みたいな感じですよね。 |
寺田 |
そうそう。だから多摩川の彼は正装ですよ。 |
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踊ってますからね、平和の祈りを込めて。 |
五月女 |
私も祈ってますよ。 |
小岐須 |
俺はなんも祈ってない。生活に追われてるだけだから。 |
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陽の光を浴びるために地上に出てきただけだから。 |
寺田 |
ビタミンDを生成しないといけないからね。 |
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みんな仲間がいていいね。オレも仲間がほしい。 |
五月女 |
ほしいほしい。ひとりじゃ股間は見せられないけど、 |
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仲間がいるから見せられる。 |
小岐須 |
威風堂々とね(笑)。 |