対決
(投稿者:石川県・さとこ)
寺田 | のび太だ、のび太! |
五月女 | え~っ、バレちゃいます? |
完全にバレちゃいましたね☆ | |
寺田 | バレるとかいう話じゃないだろ! |
小岐須 | やっぱ、そうなの?まさかとは思ったけど……。 |
五月女 | 「何かわかんない!」ってなるかと思ったんだけど…… |
ちょっと立体的にしすぎたな。 | |
寺田 | 映り込みとか描いてるもんね。ハイパーリアリズムですね。 |
小岐須 | ハイパーリアリズム?言い過ぎじゃないの(笑)。 |
寺田 | だって、この赤い玉だけ、かなりリアルですよ! |
ここに一個、ハイライトでも入れようもなんなら……。 | |
五月女 | なるほど!私、すっごいアバウトに描いてるから(笑)。 |
寺田 | 偶然リアルか!素晴らしい! |
じゃあ、このまま五月女さんから。 |
──今回の五月女さんの絵は、これまでとは少し感じが違いますね。
五月女 | そうですか? |
寺田 | 違う~?いつもの、あの顔がいないからじゃない? |
五月女 | 最初はもっとシンプルに描く予定だったんですよ。 |
でも、だんだん描き込んでいっちゃった。 | |
もっと平面的な感じにしたかったの、影とか付けずに。 | |
それでクイズ方式にしようと思って。 | |
小岐須 | クイズ方式ってなに!? |
五月女 | 普段は、見てわかる絵を信条にしているんですけど、 |
今回はわからないように描く、 | |
っていうのをやってみたいと思って。 | |
寺田 | 何を描いているのかわからないように、ってこと? |
小岐須 | ネヌのほうがわかんなかったけどね! |
五月女 | そっかあ(笑)。 |
寺田 | だって鍵穴っぽいし! |
五月女 | そうだねえ。大失敗ですよ、コレ。駄作! |
小岐須 | あははははははは! |
寺田 | 言い切っちゃったよ(笑)! |
まあまあ、描いた自分だけがわかる、 | |
後から「駄作」っていうのはありますよね。 |
──そうなんですか?
寺田 | あるある。人がいくら褒めてくれてもね。 |
五月女 | あるある(笑)。 |
小岐須 | 「どこがいいの? 教えて」みたいになるよね。 |
じゃあ、なんで提出したんだよ、って話ですけどね(笑)。 | |
寺田 | それは言いたくないけど、 |
トンコさんが「才能あるや〜ん」って言うからですよ! | |
小岐須 | 「焔くん、ええや~ん」って |
(※『アオイホノオ』より。小岐須さんと | |
寺田さんがちょうどハマっているらしい)。 |
──でも、ドラえもんってことで良いんですよね?
五月女 | そうですねえ……ピンクは何かわかります? |
小岐須 | どこでもドア! |
五月女 | すごーい! わかるんだー! |
寺田 | あっ! そっかそっか。なるほど、気づいてなかった! |
五月女 | 私、最近、どこでもドアがピンクということを娘から教えられて。 |
それまで、まったく色を意識してなかったんですよ。 | |
寺田 | オレもぼんやりと黄色でイメージしてましたよ。 |
五月女 | そうなんですよ、ビックリして。そこがまずクイズでしょ。 |
寺田 | そこが、まず……? |
小岐須 | え? どういうこと? |
五月女 | だから、どこでもドアの鍵穴なんですよ。 |
小岐須 | ああ、なるほどね! |
五月女 | 自分の行きたい所が見える鍵穴、というコンセプトです。 |
寺田 | すごく良いじゃないですか。 |
五月女 | そこまではいいでしょ? |
小岐須 | なになに? 駄作って言い切ってたじゃん(笑)! |
五月女 | そこでズラしちゃうから私ってダメなんだ。 |
うふふ。鍵穴を覗いたら、ドラえもんが塞いでた、 | |
っていうオチにしちゃった。そういうクイズ(笑)。 | |
寺田 | ドラえもんがオナラしてたとかじゃなくて? |
で、のび太がひっくりかえってるという。 | |
小岐須 | で、ドラえもんのケツの穴が |
見えてるってことでいいのかな? | |
五月女 | ケツの穴か~。じゃあ、本になる時はケツの穴を描き加えよう! |
尻尾の赤いところがケツの穴になってればいいんでしょ(笑)。 | |
小岐須 | あれ、こんな絵じゃなかったのに、ってね。 |
これ、のび太の髪型がすっごいよね。 | |
寺田 | 前髪がね。「謎の円盤UFO*」のムーンベースにいる美女隊員、 |
みたいな感じになってますよね。 | |
(* 大昔のイギリス特撮テレビシリーズ) | |
五月女 | 違うんですよ! これは眼鏡が大きいんですよ。 |
寺田 | そっか。まあ、眉毛まで入ってますしね。 |
実際かけたら凄いよね。 | |
小岐須 | レンズ代高そう。 |
寺田 | しかもフラットっぽいしね。顔に当たりそう。 |
小岐須 | あとさ、意外とのび太の太ももが太いんだよね。 |
そして鍛えられてる! | |
五月女 | さすが! そこに目がいくんだね(笑)。 |
でも、そうなの。なんでかな、まーくんの影響受けたのかな。 | |
でもね、ここが私のダメなところなんですよ。 | |
寺田 | ダメの意味がわからない! |
五月女 | 描きたい肉体を描いちゃうの。そこが私の女の部分ですね……。 |
寺田 | 女が出ちゃったんだ(笑)! 腰回りもピッチピチだしね! |
五月女 | 感情の赴くままに描いちゃった(笑)。 |
小岐須 | あはははははははははは! |
寺田 | それは素晴らしいです。 |
五月女 | 男の人は、そこ出てこないでしょ? |
寺田 | いや、どうかな。オレ、おっぱい描いちゃってるし。 |
小岐須 | 俺はそこ、隠しまくってるからなあ。 |
五月女 | おっぱいは……女々しさとか? |
寺田 | 女々しさ……まあ、守ってもらいたい感じですかね。 |
オレのは「乳鎧(ちちよろい)」っていう、 | |
メーカーの工場なんですけどね、 | |
みんなで乳鎧をつくってるんですよ。 |
五月女 | 「乳鎧」って描いてあるの、見た目が日本酒みたいだね。 |
寺田 | これは乳鎧の材料が入ってる……と思うんですよね。 |
で、手前から向こうに突き出ているのが鍵なんですよ。 | |
五月女 | へえ~。こんな鍵あるんだ~。 |
寺田 | ないよ。ちょっと抽象化して変な感じの鍵にして。 |
五月女 | これは、かなり……ピンで開けずらい鍵ですね。 |
小岐須 | 絶対にピッキングできない。かなりでかい? |
寺田 | でかいというか、遠近法です! |
たぶん5センチくらいじゃないですかね。 | |
まあ、鍵穴から見ている状態というのはですよ、 | |
向こう側が何かわからないから覗いているわけじゃないですか。 | |
で、覗いたからと言って、何かはわからない。 | |
なんか一所懸命つくってる男たちがいて、 | |
それがおっぱいの鎧だった、 | |
ということだけが鍵穴からわかることですね。 | |
それ以上、知りたい場合は、扉を開ければいいんじゃないですか。 | |
描いている本人もそこまでしかわからない、ということで! | |
小岐須 | あはははははははははは! |
五月女 | いいと思います(笑)。 |
私もドラえもんの向こう側は描いてないですからね。 | |
寺田 | 鍵穴というのは、そういうもんじゃないですか。 |
もう、すごいモヤモヤするわけですよね。 | |
ちょっと見てはいけない感じがあるし、 | |
それなりに危ない、みたいなところもあって。 | |
義手の人とか多いし、そもそも、おっぱいだし。 | |
五月女 | この右側の人がすごい優しげな表情なのが気になる。 |
寺田 | たぶん、好みのおっぱいが流れてきたんじゃないですかね。 |
小岐須 | 目線が乳首ですよね(笑)。 |
寺田 | そうっすね。右側の人が担当してるのは妊娠中のヤツなんで、 |
ちょっと乳首が大きくて濃いんですよ。 | |
なので「そっちから流れてきたヤツいいな~」 | |
と思ってる……かもしれない。 | |
そういう人たちがひたすら働いてるんですよ、 | |
鍵穴の向こうで。今も、そして明日も。 | |
五月女 | 手作業っぽいですよね、すごく。 |
寺田 | 匠の技ですね。 |
小岐須 | 義手になるくらい危ない作業ですもんね。 |
五月女 | ねえ、切断されちゃうくらいだもんねえ。 |
乳鎧は女性用なんですか? | |
寺田 | わかんないですねえ。 |
──どこで誰に向けて売られているのか気になりますね。
寺田 | ねえ。オレもそれ知りたい。 |
五月女 | この、奥にいる人が頭にかぶってるのは |
ナウシカが付けてるようなヤツでしょ? | |
ガスマスクみたいな。 |
寺田 | なんだろう。 |
手前の人の作業を覗き込んでるんだと思いますよ。 | |
これは人間じゃないキャラクターですね。 | |
五月女 | そっか。目がおっぱいだもんねえ。見えてないんじゃないかなあ(笑)。 |
寺田 | その可能性はありますね。 |
小岐須 | お偉いさんなのかな。 |
寺田 | かもしれないですねえ。 |
五月女 | 今回は、多摩川とどう絡んでくるんですか(笑)? |
寺田 | 多摩川沿いに建ってる工場ですね。 |
小岐須 | また多摩川(笑)!? |
五月女 | にこたまじゃないのかな? |
寺田 | にこたまじゃないらしいと聞いてます。 |
──奥の人は義手というか、左腕がほぼ機械になっちゃってますね。
寺田 | 乳鎧をつくりやすい道具が着いてるんですよ。 |
もう、乳鎧のためだけに生きてる! | |
小岐須 | 乳鎧をつくるには背筋を使うんですか。 |
この人、背筋すごいすよね。 | |
寺田 | この人は、もともとボクサーとかしてたんでしょう。 |
絵的には、今回は花輪和一さんを意識しました。 | |
花輪さん、図解みたいなものが、すごく上手いんですよ。 | |
途中で描いていて、「ちょっと花輪さんぽい!」と思ったので、 | |
そのままのタッチで進めました。いつもの絵とちょっと違うでしょ? | |
五月女 | 違いますねえ。視点がドキュメンタリー。 |
寺田 | そうですね。リアルな感じにしてみたんですよ。 |
小岐須 | NHK的な……。 |
寺田 | NHKなんですよ。 |
五月女 | あははは。 |
寺田 | ちなみに今回もPhotoshopです。ちまちま描きました。 |
筆の不透明度を30〜40%くらいにして、 | |
鉛筆のように塗り重ねると、少しずつ濃くなって、 | |
ちょっと水彩っぽいテイストになるので。 | |
で、後から別のレイヤーでちょっと色を重ねました。 | |
もともとモノクロで描いてたんですけど、 | |
少しだけ赤と青のトーンを付けて、 | |
おっぱいのハイライトとか入れてね……完成です! | |
こういうデタラメなリアルは得意分野です! | |
五月女 | すごいですね~! |
──Photoshopなのにすごく質感がありますね。
寺田 | そういう描き方の人、最近は多いんじゃない? |
Photoshopはデフォルトの筆がフラットな分、 | |
使いようでどうにでもなると思います。 | |
ねえ、小岐須先生。 | |
小岐須先生もフォトショッパーじゃないですか? |
小岐須 | 線画は鉛筆だけど、色は全部Photoshopですね。 |
俺もショッパーです(笑)。克也さんと同じで、 | |
乗算で重ねて塗って行く感じですね。 | |
俺のは全部の色をバラバラで重ねて行ったので、 | |
レイヤーの数は半端ないすよ。 | |
寺田 | そうなの? |
小岐須 | うん。で、最初に色面を全部塗っちゃったあとに |
細かい影を入れたら、今度は全体の影を、 | |
また別レイヤーで上から重ねて。 | |
鍵穴から覗いてる感が欲しかったから、 | |
最後にさらに影をのっけたんですよね。 | |
実は、ピラミッドの絵って、イメージに合わせて | |
時間帯を変えてるんですけど、これは朝です。 | |
一番最初の民族は夕方の絵で、 | |
ネヌが昼、これは朝にしたんですよ。 | |
で、俺の中でヤンキーは昼だった。 | |
五月女 | へ~。朝昼晩とか考えてなかったなあ。 |
小岐須 | で、鍵穴を覗くと、「なにこれ、どこ!?」 |
みたいな感じで、どこかの知らない世界に通じているという。 | |
たぶん、捕まってんだろうなって。 |
──これ、覗いてる人と向こう側の人は目が合っちゃってる感じですね。
小岐須 | そうそう。覗いてるのがバレてる。 |
寺田 | これは、最初から牢獄のつもりで描いてたの? |
それとも影を置いてから? | |
小岐須 | もともと牢獄設定です。 |
寺田 | 影が変な格子の形だね。小岐須ワールドだなー。 |
五月女 | ねえ。 |
小岐須 | 牢獄感を出そうと思って。 |
寺田 | 両国? |
小岐須 | 両国じゃない(笑)。 |
国技館の地下にある焼き鳥工場とかじゃないからね! | |
寺田 | あ、牢獄か。両国って、相撲取りなのかと思ったよ! |
小岐須 | いやいや(笑)。 |
で、下のほうに水が流れてるスペースがある。 | |
寺田 | 隅田川? |
小岐須 | なんで、俺まで川設定なんすか(笑)! |
寺田 | みんな川にしようか! |
小岐須 | まあ、とにかく、たまたま覗いたら、 |
どこか違う次元の世界に繋がってたんですよ。 |
──後ろのハゲっぽい人が可愛いですね。
小岐須 | ハゲっぽい人のほうが、 |
たぶん偉い人だと思うんですよねえ。手前の人は、 | |
お付きの人で一緒に捕まってるんじゃねえかという。 | |
どっちも性別は判然としない感じです。 | |
寺田 | ハゲが女性なんじゃないかなって気がしますね、むしろ。 |
五月女 | このオシャレハゲは腕が太いね。筋肉? |
小岐須 | 腕のは鎧ですね。 |
五月女 | 肌になんかプツプツ付いてるのかと思った。 |
寺田 | インプラントなのかと思った。 |
小岐須 | インプラントはおでこのところだけ。 |
五月女 | これは人間? |
小岐須 | 人間だと思うんですけどねえ、 |
まあ、よくわからない世界なんで。 | |
寺田 | 何語喋るんだろうね? |
五月女 | 喋るのかなあ? |
寺田 | テレパシーかなあ? |
小岐須 | お付きの人は耳が青いんで、 |
声が聴き取れるんじゃないかなあ。 | |
寺田 | それ、青関係ないじゃん(笑)! |
でも、青い耳いいね。可愛い。 | |
オレ、耳だけ色変えるのとか、 | |
あんまりやったことないや。真似しよう! | |
小岐須 | 次は、みんな思い思いの耳色になってたら面白ぇな。 |
五月女 | じゃあ、私のも使っていいよ! |
寺田 | ピッカピッカの赤い玉をね。 |
小岐須 | パンパンの脚をね。 |
五月女 | よし! 私もおっぱい描こ〜! |
本日のラクガキ
五月女さんのラクガキ:普段は恥ずかしくてあまり描かないというおっぱいを、寺田さんに触発されて描いてくれました。他にも、話題にのぼったあれやこれやをラクガキ。
寺田さんのラクガキ:『アオイホノオ』のマンガ&ドラマにハマッているということで、ヒロイン・トンコさんにインスピレーションを得て描いてくれました。
小岐須さんのラクガキ:鳥人間と犬人間。鉛筆と擦筆を使って、可愛いのにリアルなラクガキを仕上げてくれました。