俺たちピラミッドMKK

対決

VOL.04

鍵穴をのぞくと見えるもの

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(投稿者:石川県・さとこ)

TALK SESSION
寺田 のび太だ、のび太!
五月女 え~っ、バレちゃいます?
完全にバレちゃいましたね☆
寺田 バレるとかいう話じゃないだろ!
小岐須 やっぱ、そうなの?まさかとは思ったけど……。
五月女 「何かわかんない!」ってなるかと思ったんだけど……
ちょっと立体的にしすぎたな。
寺田 映り込みとか描いてるもんね。ハイパーリアリズムですね。
小岐須 ハイパーリアリズム?言い過ぎじゃないの(笑)。
寺田 だって、この赤い玉だけ、かなりリアルですよ!
ここに一個、ハイライトでも入れようもなんなら……。
五月女 なるほど!私、すっごいアバウトに描いてるから(笑)。
寺田 偶然リアルか!素晴らしい!
じゃあ、このまま五月女さんから。

──今回の五月女さんの絵は、これまでとは少し感じが違いますね。

五月女 そうですか?
寺田 違う~?いつもの、あの顔がいないからじゃない?
五月女 最初はもっとシンプルに描く予定だったんですよ。
でも、だんだん描き込んでいっちゃった。
もっと平面的な感じにしたかったの、影とか付けずに。
それでクイズ方式にしようと思って。
小岐須 クイズ方式ってなに!?
五月女 普段は、見てわかる絵を信条にしているんですけど、
今回はわからないように描く、
っていうのをやってみたいと思って。
寺田 何を描いているのかわからないように、ってこと?
小岐須 ネヌのほうがわかんなかったけどね!
五月女 そっかあ(笑)。
寺田 だって鍵穴っぽいし!
五月女 そうだねえ。大失敗ですよ、コレ。駄作!
小岐須 あははははははは!
寺田 言い切っちゃったよ(笑)!
まあまあ、描いた自分だけがわかる、
後から「駄作」っていうのはありますよね。

──そうなんですか?

寺田 あるある。人がいくら褒めてくれてもね。
五月女 あるある(笑)。
小岐須 「どこがいいの? 教えて」みたいになるよね。
じゃあ、なんで提出したんだよ、って話ですけどね(笑)。
寺田 それは言いたくないけど、
トンコさんが「才能あるや〜ん」って言うからですよ!
小岐須 「焔くん、ええや~ん」って
(※『アオイホノオ』より。小岐須さんと
寺田さんがちょうどハマっているらしい)。

──でも、ドラえもんってことで良いんですよね?

五月女 そうですねえ……ピンクは何かわかります?
小岐須 どこでもドア!
五月女 すごーい! わかるんだー!
寺田 あっ! そっかそっか。なるほど、気づいてなかった!
五月女 私、最近、どこでもドアがピンクということを娘から教えられて。
それまで、まったく色を意識してなかったんですよ。
寺田 オレもぼんやりと黄色でイメージしてましたよ。
五月女 そうなんですよ、ビックリして。そこがまずクイズでしょ。
寺田 そこが、まず……?
小岐須 え? どういうこと?
五月女 だから、どこでもドアの鍵穴なんですよ。
小岐須 ああ、なるほどね!
五月女 自分の行きたい所が見える鍵穴、というコンセプトです。
寺田 すごく良いじゃないですか。
五月女 そこまではいいでしょ?
小岐須 なになに? 駄作って言い切ってたじゃん(笑)!
五月女 そこでズラしちゃうから私ってダメなんだ。
うふふ。鍵穴を覗いたら、ドラえもんが塞いでた、
っていうオチにしちゃった。そういうクイズ(笑)。
寺田 ドラえもんがオナラしてたとかじゃなくて?
で、のび太がひっくりかえってるという。
小岐須 で、ドラえもんのケツの穴が
見えてるってことでいいのかな?
五月女 ケツの穴か~。じゃあ、本になる時はケツの穴を描き加えよう!
尻尾の赤いところがケツの穴になってればいいんでしょ(笑)。
小岐須 あれ、こんな絵じゃなかったのに、ってね。
これ、のび太の髪型がすっごいよね。
寺田 前髪がね。「謎の円盤UFO*」のムーンベースにいる美女隊員、
みたいな感じになってますよね。
(* 大昔のイギリス特撮テレビシリーズ)
五月女 違うんですよ! これは眼鏡が大きいんですよ。
寺田 そっか。まあ、眉毛まで入ってますしね。
実際かけたら凄いよね。
小岐須 レンズ代高そう。
寺田 しかもフラットっぽいしね。顔に当たりそう。
小岐須 あとさ、意外とのび太の太ももが太いんだよね。
そして鍛えられてる!
五月女 さすが! そこに目がいくんだね(笑)。
でも、そうなの。なんでかな、まーくんの影響受けたのかな。
でもね、ここが私のダメなところなんですよ。
寺田 ダメの意味がわからない!
五月女 描きたい肉体を描いちゃうの。そこが私の女の部分ですね……。
寺田 女が出ちゃったんだ(笑)! 腰回りもピッチピチだしね!
五月女 感情の赴くままに描いちゃった(笑)。
小岐須 あはははははははははは!
寺田 それは素晴らしいです。
五月女 男の人は、そこ出てこないでしょ?
寺田 いや、どうかな。オレ、おっぱい描いちゃってるし。
小岐須 俺はそこ、隠しまくってるからなあ。
五月女 おっぱいは……女々しさとか?
寺田 女々しさ……まあ、守ってもらいたい感じですかね。
オレのは「乳鎧(ちちよろい)」っていう、
メーカーの工場なんですけどね、
みんなで乳鎧をつくってるんですよ。
五月女 「乳鎧」って描いてあるの、見た目が日本酒みたいだね。
寺田 これは乳鎧の材料が入ってる……と思うんですよね。
で、手前から向こうに突き出ているのが鍵なんですよ。
五月女 へえ~。こんな鍵あるんだ~。
寺田 ないよ。ちょっと抽象化して変な感じの鍵にして。
五月女 これは、かなり……ピンで開けずらい鍵ですね。
小岐須 絶対にピッキングできない。かなりでかい?
寺田 でかいというか、遠近法です!
たぶん5センチくらいじゃないですかね。
まあ、鍵穴から見ている状態というのはですよ、
向こう側が何かわからないから覗いているわけじゃないですか。
で、覗いたからと言って、何かはわからない。
なんか一所懸命つくってる男たちがいて、
それがおっぱいの鎧だった、
ということだけが鍵穴からわかることですね。
それ以上、知りたい場合は、­扉を開ければいいんじゃないですか。
描いている本人もそこまでしかわからない、ということで!
小岐須 あはははははははははは!
五月女 いいと思います(笑)。
私もドラえもんの向こう側は描いてないですからね。
寺田 鍵穴というのは、そういうもんじゃないですか。
もう、すごいモヤモヤするわけですよね。
ちょっと見てはいけない感じがあるし、
それなりに危ない、みたいなところもあって。
義手の人とか多いし、そもそも、おっぱいだし。
五月女 この右側の人がすごい優しげな表情なのが気になる。
寺田 たぶん、好みのおっぱいが流れてきたんじゃないですかね。
小岐須 目線が乳首ですよね(笑)。
寺田 そうっすね。右側の人が担当してるのは妊娠中のヤツなんで、
ちょっと乳首が大きくて濃いんですよ。
なので「そっちから流れてきたヤツいいな~」
と思ってる……かもしれない。
そういう人たちがひたすら働いてるんですよ、
鍵穴の向こうで。今も、そして明日も。
五月女 手作業っぽいですよね、すごく。
寺田 匠の技ですね。
小岐須 義手になるくらい危ない作業ですもんね。
五月女 ねえ、切断されちゃうくらいだもんねえ。
乳鎧は女性用なんですか?
寺田 わかんないですねえ。

──どこで誰に向けて売られているのか気になりますね。

寺田 ねえ。オレもそれ知りたい。
五月女 この、奥にいる人が頭にかぶってるのは
ナウシカが付けてるようなヤツでしょ?
ガスマスクみたいな。
寺田 なんだろう。
手前の人の作業を覗き込んでるんだと思いますよ。
これは人間じゃないキャラクターですね。
五月女 そっか。目がおっぱいだもんねえ。見えてないんじゃないかなあ(笑)。
寺田 その可能性はありますね。
小岐須 お偉いさんなのかな。
寺田 かもしれないですねえ。
五月女 今回は、多摩川とどう絡んでくるんですか(笑)?
寺田 多摩川沿いに建ってる工場ですね。
小岐須 また多摩川(笑)!?
五月女 にこたまじゃないのかな?
寺田 にこたまじゃないらしいと聞いてます。

──奥の人は義手というか、左腕がほぼ機械になっちゃってますね。

寺田 乳鎧をつくりやすい道具が着いてるんですよ。
もう、乳鎧のためだけに生きてる!
小岐須 乳鎧をつくるには背筋を使うんですか。
この人、背筋すごいすよね。
寺田 この人は、もともとボクサーとかしてたんでしょう。
絵的には、今回は花輪和一さんを意識しました。
花輪さん、図解みたいなものが、すごく上手いんですよ。
途中で描いていて、「ちょっと花輪さんぽい!」と思ったので、
そのままのタッチで進めました。いつもの絵とちょっと違うでしょ?
五月女 違いますねえ。視点がドキュメンタリー。
寺田 そうですね。リアルな感じにしてみたんですよ。
小岐須 NHK的な……。
寺田 NHKなんですよ。
五月女 あははは。
寺田 ちなみに今回もPhotoshopです。ちまちま描きました。
筆の不透明度を30〜40%くらいにして、
鉛筆のように塗り重ねると、少しずつ濃くなって、
ちょっと水彩っぽいテイストになるので。
で、後から別のレイヤーでちょっと色を重ねました。
もともとモノクロで描いてたんですけど、
少しだけ赤と青のトーンを付けて、
おっぱいのハイライトとか入れてね……完成です!
こういうデタラメなリアルは得意分野です!
五月女 すごいですね~!

──Photoshopなのにすごく質感がありますね。

寺田 そういう描き方の人、最近は多いんじゃない?
Photoshopはデフォルトの筆がフラットな分、
使いようでどうにでもなると思います。
ねえ、小岐須先生。
小岐須先生もフォトショッパーじゃないですか?
小岐須 線画は鉛筆だけど、色は全部Photoshopですね。
俺もショッパーです(笑)。克也さんと同じで、
乗算で重ねて塗って行く感じですね。
俺のは全部の色をバラバラで重ねて行ったので、
レイヤーの数は半端ないすよ。
寺田 そうなの?
小岐須 うん。で、最初に色面を全部塗っちゃったあとに
細かい影を入れたら、今度は全体の影を、
また別レイヤーで上から重ねて。
鍵穴から覗いてる感が欲しかったから、
最後にさらに影をのっけたんですよね。
実は、ピラミッドの絵って、イメージに合わせて
時間帯を変えてるんですけど、これは朝です。
一番最初の民族は夕方の絵で、
ネヌが昼、これは朝にしたんですよ。
で、俺の中でヤンキーは昼だった。
五月女 へ~。朝昼晩とか考えてなかったなあ。
小岐須 で、鍵穴を覗くと、「なにこれ、どこ!?」
みたいな感じで、どこかの知らない世界に通じているという。
たぶん、捕まってんだろうなって。

──これ、覗いてる人と向こう側の人は目が合っちゃってる感じですね。

小岐須 そうそう。覗いてるのがバレてる。
寺田 これは、最初から牢獄のつもりで描いてたの?
それとも影を置いてから?
小岐須 もともと牢獄設定です。
寺田 影が変な格子の形だね。小岐須ワールドだなー。
五月女 ねえ。
小岐須 牢獄感を出そうと思って。
寺田 両国?
小岐須 両国じゃない(笑)。
国技館の地下にある焼き鳥工場とかじゃないからね!
寺田 あ、牢獄か。両国って、相撲取りなのかと思ったよ!
小岐須 いやいや(笑)。
で、下のほうに水が流れてるスペースがある。
寺田 隅田川?
小岐須 なんで、俺まで川設定なんすか(笑)!
寺田 みんな川にしようか!
小岐須 まあ、とにかく、たまたま覗いたら、
どこか違う次元の世界に繋がってたんですよ。

──後ろのハゲっぽい人が可愛いですね。

小岐須 ハゲっぽい人のほうが、
たぶん偉い人だと思うんですよねえ。手前の人は、
お付きの人で一緒に捕まってるんじゃねえかという。
どっちも性別は判然としない感じです。
寺田 ハゲが女性なんじゃないかなって気がしますね、むしろ。
五月女 このオシャレハゲは腕が太いね。筋肉?
小岐須 腕のは鎧ですね。
五月女 肌になんかプツプツ付いてるのかと思った。
寺田 インプラントなのかと思った。
小岐須 インプラントはおでこのところだけ。
五月女 これは人間?
小岐須 人間だと思うんですけどねえ、
まあ、よくわからない世界なんで。
寺田 何語喋るんだろうね?
五月女 喋るのかなあ?
寺田 テレパシーかなあ?
小岐須 お付きの人は耳が青いんで、
声が聴き取れるんじゃないかなあ。
寺田 それ、青関係ないじゃん(笑)!
でも、青い耳いいね。可愛い。
オレ、耳だけ色変えるのとか、
あんまりやったことないや。真似しよう!
小岐須 次は、みんな思い思いの耳色になってたら面白ぇな。
五月女 じゃあ、私のも使っていいよ!
寺田 ピッカピッカの赤い玉をね。
小岐須 パンパンの脚をね。
五月女 よし! 私もおっぱい描こ〜!

本日のラクガキ

TALK SESSION

五月女さんのラクガキ:普段は恥ずかしくてあまり描かないというおっぱいを、寺田さんに触発されて描いてくれました。他にも、話題にのぼったあれやこれやをラクガキ。

TALK SESSION

寺田さんのラクガキ:『アオイホノオ』のマンガ&ドラマにハマッているということで、ヒロイン・トンコさんにインスピレーションを得て描いてくれました。

TALK SESSION

小岐須さんのラクガキ:鳥人間と犬人間。鉛筆と擦筆を使って、可愛いのにリアルなラクガキを仕上げてくれました。

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