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映画『恋恋豆花』モトーラ世理奈 インタビュー

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対談・インタビュー
撮影:井出眞諭

モトーラ世理奈インタビュー

──映画『恋恋豆花』には2つの魅力があると思いました。1つめは台湾の食事や風景などの旅行記的なドキュメントの楽しさです。台湾という舞台はどう感じられましたか。
モトーラ 撮影前に、台湾には1回行ったことがあって、その雰囲気が自分に合いそうだと感じていました。だから今回の作品もやりたいと思いました。最初に台湾へ行ったのは高校3年生の時で、友だちと二人で海外旅行するのがはじめてだったので、何も分からないなかで冒険した思い出が強く残っています。3泊4日で九份にも行ったし、彩虹眷村(レインボービレッジ)にも行きました。台湾の街並みは赤が強かったりしてカラフルでそういった色合いも好きでした。

──そうでしたか。それなら台湾で撮れたことも良かったですね。続いてもう一つの側面ですが、モトーラさん演じる奈央が、義理のお母さんになる綾と交流する様子も描かれます。奈央はなかなか綾さんと馴染めないわけですが、こういった序盤の心境について、どう感じていましたか?
モトーラ 奈央は大学生活が上手くいっていない21歳の女の子。撮影の時、私は19歳で大学生でもなかったので、21歳ってどんな感じなのかな、と思っていました。大人との境目で、子供っぽい部分もあるけれど、そうではない時もある。高校時代の友だちで大学に行っている子を見ていると、楽しんでいる子もいれば、なんとなく行っている感じの子もいました。それを思うと奈央の気持ちも少し分かります。若干、自分が何なのか分からなくなっている時期…。そういう時に綾さんが現れて、「あなたは娘よ」と言ってきたら、「え?」と思いますよね。

──そうですね。奈央は綾さんとの台湾旅行のなかで、少しずつ変わっていく…。
モトーラ いろんな人に出会って、いろんなものを食べて。はじめて出会った人とご飯を食べるんですけど、それは見たこともない台湾のご飯だし。そういうなかで、自然と心はほどけていくんだな、と感じました。

映画『恋恋豆恋』今関あきよし・モトーラ世理奈インタビュー

──序盤で、夜に1人で「コンビニに行く」と言って出ていくシーンがありますね。暗い中で光る提灯がすごくきれいでした。
モトーラ あの提灯はずっとついているのかと思いきや、ある程度の時間になったら全部消えちゃうんですよ。1日目に撮影しようとした時には消えてしまって撮れなかったんです。それで次の日はもっと早くに行って。今関監督が「ちょっと踊ってみようか」と言って、踊った感じでした。夢の中みたいなイメージで。

──その後、九份から台北に行ってマンゴーかき氷を食べますね。この頃から、心の中で綾さんのことを「あやや」と呼ぶようになって。
モトーラ 綾さんのことを人として見られるようになってきたのかな、と思います。

──綾さんはわりと気を遣わずにぐっと入ってくる人でしたね。
モトーラ ちょっと可愛いな、と(笑)。自分のペースだけど、相手のことを分かってくれるので、可愛い人だと感じました。

──綾さんと打ち解けながら台湾を自由に旅しますが、途中でカメラマンと出会ってモデルになるエピソードがありますね。ああいう思いがけない体験も、旅ならではのことかと思いました。
モトーラ 少しドキドキだし、ちょっと自分を肯定したくなる、なんだか分からない嬉しさがあったのかなあ、と思います。

──バックパッカーの清太郎との出会いも印象的でした。奈央として清太郎をどう感じましたか?
モトーラ 最初は変な人だな、という感じ。「この人、何なんだろう?」と(笑)。でも思いがけない出会いだったんですよね。それまでは綾さんと2人だったけれど、偶然に歳の近い人と出会えた。そういうのは旅ならではだなあ、と思って。また会えるかどうかも分からない人。だから会いたい、みたいな。

映画『恋恋豆恋』今関あきよし・モトーラ世理奈インタビュー

──人との出会いも経て、楽しい旅になっていきますね。実際に歩いて食べていらしたから、実感があったと思います。
モトーラ ロードムービー的な流れで、撮影もほとんど順撮りだったので、私たちも本当に旅をしている感じでした。何も知らない世界へ行くと、もう1回はじまる気分になって、気持ちもリセットされたりして。

──洸美さんのライブを聴くシーンも偶然の出会いのようでした。
モトーラ あのシーンは何テイクも撮ったりせずに、本当に洸美さんのライブを聴いている感じでした。しかも、わかっていて聴きに行ったわけではなくて、たまたまそのライブに出会ったという流れが良いなあ、と。出会うはずのなかったところで聴けて。

──「私の心に花が咲く」という歌詞があって、奈央の心境を表している感じがしました。そして、今回の作品で気になったことの一つが、奈央が画面に向かって話したり、パペットを使ったお芝居をするところでした。見ている観客に話している感じの不思議な演出です。
モトーラ 今関監督に「これはどんな感じですか?」と訊くと、お手本をやってくれるんですよ。声色を変えて「ブタになれ! エイ!」とか(笑)。最初は私も戸惑いました。奈央として物語の中にいながら、突然あのシーンが出てくるので、「どういうこと?」と思ったんですけど、だんだん慣れてきて、声の出し方とかもすぐに切り替えられるようになりました。

──パペットはモトーラさんに似ていましたね。スタッフの方が作られたんですか?
モトーラ そうです。パペットの奈央ちゃんとはずっと一緒にいました。

───素敵です。今関監督は、物語の役はあるけれど、演じている女優さん自身をドキュメント的に撮る感じを昔からされていたと感じます。画面に向かって話すのは、物語からはみ出して、観客を映画の世界に巻き込んでいる感じだと思います。そうすると、演じる女優さん自身に存在感がないと世界が壊れると思うんです。今関監督はモトーラさんに大きな存在感を感じて、奈央としてもモトーラさんとしてもそこに存在している姿を、ドキュメントっぽく撮ったのかなぁと感じました。実際に、素の旅行記的な側面もありましたか?
モトーラ 台湾では朝起きたらそこから撮影がはじまっていました。今回は衣装もほとんど私服で、自分が持ってきた服を着て、ヘアメイクも自分でやっていたんです。普通に顔を洗って身支度をして、撮影がはじまる感じだったので、自分の旅とリンクしていて、それを撮ってもらっている感じでした。衣裳は私服を自宅から持っていって、その中から奈央っぽい服を選んで、「九份に行く時はこれにしよう」とか、衣装も決めていったんです。

映画『恋恋豆恋』今関あきよし・モトーラ世理奈インタビュー

──衣装はモトーラさんそのままの格好が良いと監督が思われたんですかね。
モトーラ 奈央のオーディションが3回あって、1回目は特に指定はなかったのですが、2回目は「自分が普段旅に行く時のリラックスした服装で」と言われて、3回目は「自分のお気に入りの服を着てきて」という話があったんです。3回目に着ていた服は、映画の中でアイスクリームを持っているシーンで使われました。紺色の花柄ワンピースです。2回目の時は、よれよれのショートパンツと普通のてろてろのTシャツで行ったんですけど、周りの人は結構ちゃんとした格好をしていて、私だけ浮いていました(笑)。監督は、結構それが衝撃だったみたいです(笑)。

──リラックスする格好が衝撃(笑)。メイクもご自身でされたということですから、かなり自然に撮られたのですね。
モトーラ 食事も、映画の中で食べているご飯が実際の3食でした。「ここで食べておかないと、次はない」と(笑)。逆に、1日10食みたいな時もありましたけど(笑)。台湾ではほとんどゲリラ撮影だったので、普通に私が注文して、出てきたものを食べていたんです。それを知らない間にカメラが撮っている感じでした。九份に行った時に、綾さん役の葉子さんと「これ、美味しそうだから食べてみようよ」と普通に買って食べ歩きしていたら、気付かないうちにカメラが回っていたこともありました。観光地で写真を撮っているのが普通だから、周りにもあまり気づかれなくて。

──本当にドキュメンタリーっぽいですね。奈央を演じたときは、役をつくった方ですか? それとも素に近かったですか。
モトーラ うーん…ほとんど一緒なようで、でも私じゃない、今までに味わったことのない感覚でした。

映画『恋恋豆恋』今関あきよし・モトーラ世理奈インタビュー

───なるほど。そして台湾は景色も良かったですね。提灯がきれいな黄金山城や、清太郎が「きれい」だと言っていた九份の高台にある福山宮からの景色も幻想的でした。
モトーラ 福山宮からはすごくきれいな夕陽が見えるのですが、あんまり天気が良くなくて。九份は台北から結構離れているので、海が見えるんです。あそこはもともと金が採れる金山で栄えたところだったのが、今は観光地化されているそうです。あのシーンで奈央が寝ていますが、私、本当に寝てしまって(笑)。陽が落ちるのを待つので、監督に「寝ていて良いよ」と言われたので眠ってしまって、ハッと起きたら、カメラマンの集団に囲まれていました(笑)。

──すごい。台湾をこうして回って、綾さんとも仲良くなって、奈央として旅の楽しみをどう感じられましたか?
モトーラ 知らない土地で知らないものに囲まれて、いろんな人に会って…。綾さんも最初は他人だから、少し孤独な感覚もあったのですが、一緒に美味しいものを食べて、様々な人に出会っていくなかで、いろんな気持ちを綾さんと共有できたと思います。それによって奈央が成長していきました。知らないことを知った奈央は、最後のシーンでも言っているように、「みんなよりちょっと成長した」と思います。

──実際に台湾をいろいろ体験した奈央として、最後にオススメのポイントを教えてください。
モトーラ 夜市は珍しいですね。いろんな色が光っていてきれいだし、日本にはない雰囲気があります。観光地っぽい夜市もあるんですが、そうではないところは本当に地域のコミュニティみたいな感じで、みんなが普段のご飯を食べに行くところ。台湾では一人暮らしのマンションにはキッチンがないらしくて。基本的に、外に食べに行く方が安くて美味しいそうです。だから外で食べるご飯が本当に安いし、美味しい。贅沢ではない普通のものが美味しいんですよね。この映画を見た人には台湾に行って欲しいです。行くとその良さが分かります。

───見ていて本当に台湾に行きたくなる映画でした。本日はありがとうございました。


プロフィール

映画『恋恋豆恋』今関あきよし・モトーラ世理奈インタビュー

モトーラ世理奈(もとーら・せりな)
1998年東京生まれ。雑誌「装苑」2015年1月号にてモデルデビュー。2018年に映画『少女邂逅』で女優デビュー。2020年には『恋恋豆花』のほか、『風の電話』、『猫、かえる』などの主演作が公開となった。



れんれんどうふぁ
恋恋豆花


キャスト
モトーラ世理奈 大島葉子
椎名鯛造 真宮葉月 石知田 潘之敏 陳詠華 Gladys TSAI 翁兆璿 山田知弘 友咲まどか 龍羽ワタナベ 洸美-hiromi- 芋生悠 落合真彩 桐生桜来 藤原希 梶健太 劉高志
利重剛 

監督:今関あきよし 企画/統括プロデューサー:嶋田豪 製作:RyuRyu 羽子田幸一 和久勤 脚本:いしかわ彰 監督補:土田準平 撮影:藍河兼一 録音:赤羽一真 台湾撮影コーディネート:杉山亮一 制作:太田則子 衣小/メイク:Yocco スチール:陳詠華 劇伴:田中どぼん俊光 編集/グレーディング:藤田真一 整音/音響効果:丹雄二 紙芝居/タイトル:ひだかきょうこ 挿入歌:「恋恋豆花」歌 洸美-hiromi- 「生活需要多一點樂觀」歌 PiA吳蓓雅 主題歌:「言葉 -KOTOBA-」歌 後藤郁 キャスティング:クリエイターズ・フィールド 製作:アイエス・フィールド 龍虎企画 H & S エンターテイメント 出海企画

2019年/日=台/カラー/101分/ビスタサイズ/ステレオ/DCP 
配給・宣伝:アイエス・フィールド
©2019「恋恋豆花」製作委員会

www.is-field.com/renren/