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【初音ミク×スモールエス】第1回・DTM講座 -音楽制作をはじめよう!

対談・インタビュー
「初音ミク」×「スモールエス」イラスト・オンガクコンテストを開催いたします!
コンテストでは初音ミクのイラストと歌唱楽曲を募集いたします。
開催にあたって、イラストを描くみなさんにもぜひ音楽制作に挑戦していただきたく、全3回にわたり音楽制作を始めるための基礎知識を解説していきます。
今回は、音楽がどのように作られ、何が必要なのか、という基本的な部分を解説します!
 

▼第2回はこちらから


SS(スモールエス)81号の誌面では同じ内容の記事を掲載中!
▼詳細はこちらから
https://www.s-ss-s.com/ss/81

音声合成ソフトウェア「VOCALOID」に対応した音声ライブラリ(ソフトウェア音源)として、クリプトン・フューチャー・メディアから発売されたのが「初音ミク」です。発表された当時から、初音ミクを使用した音楽作品や動画のアップロードが、ニコニコ動画やYoutubeでおこなわれました。VOCALOIDを使って音楽制作を行うクリエイターは「ボカロP」と呼ばれ、「DTM(DeskTop Music デスクトップ・ミュージック)」という形で音楽制作をしています。「パソコンの中で歌を歌わせることができるソフトウェア」としての初音ミクもこのDTMで使われてきました。初音ミクの登場によって、ボーカルを擁した音楽制作がより自由に発表できるようになり、革命的と言える音楽シーンの広がりが生まれたのです。



introduction 音楽はどのように作られる?

皆さんがイラストを描くとき、まず「どんな絵を描こうかな?」と考えると思います。音楽制作も同じで、最初に「どんな曲を作ろうかな?」というイメージを膨らませることから始まります。
次にその曲のテーマとなるフレーズを考えます。
思いついたメロディやリズムは、忘れてしまわないように鼻歌で録音するのがおすすめ。絵を描くときのラフスケッチのように、大まかなイメージやアウトラインを記録しておきます。
アウトラインが出来たら、DAWと呼ばれる作曲ソフトで形にしていきます。テーマを形にしたら、そこに厚みや色どりを持たせるために様々な楽器の音を重ねていきます。最後に、細部を調整して作品を仕上げます。

大まかに構想を練ってから徐々に作品を仕上げていくという過程は、音楽制作とイラスト制作は似ていると言えるでしょう。
音楽制作もイラスト制作も「アイディアを形にする」という点では、どちらも同じクリエイティブな活動なのです。


1-1音楽制作に必要なもの

音楽制作を始めるために、最低限必要なものは、次の2つです。最初からすべて揃える必要はありません。
まずはパソコンとDAWソフトから始めて、必要に応じて少しずつ機材を増やしていくのがおすすめです。


1-2 DAWソフトって何?

それでは、音楽制作の中心となるDAWソフトについて、もう少し詳しく解説します。
DAWソフトは、音楽を作るための様々な道具が一つにまとまった、便利なソフトウェアです。


DAWソフトでできること
つまり、DAWソフトがあれば、メロディを形にするところから最終的な仕上げまで、音楽制作のすべての作業をパソコン上で行うことができるのです。
最初は機能の多さに困惑するかもしれませんが、実際によく使用する機能はごくわずかです。
機能を一つ一つしっかり理解するのは大変なので、まずはイラストソフトでのレイヤーのような“トラック”と呼ばれる入れ物に楽器の音を入れて、それを重ねていくだけのソフトだと想像してみてください。


「トラック」はイラストソフトの「レイヤー」に似ている!

イラストソフトの「レイヤー」機能を思い出してみてください。イラストを描くときは、複数のレイヤーに異なる絵を描き、それらを重ねて一枚の絵を作っていくと思います。

DAWソフトでは、「トラック」と呼ばれるものに、それぞれ異なる音を配置していきます。例えば、ボーカルのトラック、ギターのトラック、ベースのトラック、ドラムのトラック…というように、各パートごとにトラックを作ります。そして、これらのトラックを重ねていくことで、一つの曲が完成します。

イラストソフトで、各レイヤーの透明度を変えたり、様々なエフェクトをかけたりすることで、絵の印象を調整できるように、DAWソフトでも、各トラックの音量を変えたり、左右の位置を変えたり、音を変化させるエフェクトをかけたりすることで、曲のサウンドをコントロールし、曲を仕上げていくのです。


 さまざまなDAWソフト

どのソフトを選ぶかは、自分の音楽スタイルや予算、使いやすさなどを考えて決めましょう。
最初は無料ソフトから始めて、慣れてきたら有料ソフトに挑戦してみるのも良いかもしれません。また、オーディオインターフェースにDAWが付属している場合もあるので、まずはそれを使ってみながら自分にあったDAWを探してみるのもよいでしょう。DAWソフトは、音楽制作の可能性を大きく広げてくれる、強力なツールです。ソフトを使いこなして、自分だけの音楽を自由に表現してみましょう!

DAWソフトには、主に2種類の「トラック」があります。
「オーディオトラック」と「インストゥルメントトラック」です。


1-3 オーディオトラックって何?

オーディオトラックは、マイクで録音した音や、パソコンに取り込んだ音(オーディオファイル)を扱うためのトラックです。
例えばボーカルや楽器、効果音などをオーディオトラックに配置できます。
オーディオトラックは、音を「波形」として表示します。波形とは、音の振動を視覚的に表したものです。波形を見ることで、音の大きさや長さ、音の変化などを確認することができます。

録音をするならオーディオインターフェース!
オーディオトラックに音を録音するには、「オーディオインターフェース」という機器が必要です。オーディオインターフェースがなくてもパソコン内蔵のマイクで録音することはできますが、音質はあまりよくありません。

もしも自分の歌や楽器の演奏を録音したい場合は、オーディオインターフェースとマイクを購入することも考えてみてはいかがでしょうか。音楽制作以外でも、配信ソフトやボイスチャットソフトでも活用できるので、活躍が見込めます。また、エレキギターやエレキベースを持っている場合は、オーディオインターフェースにケーブルを繋ぐことで録音することもできます。ギター/ベースアンプを再現するエフェクトを使えば、アンプを通したサウンドに変貌させることもできます。
音を編集する
オーディオトラックに記録した音は、DAWソフト上で自由に編集することができます。
これらの編集機能を活用することで、オーディオトラックで録音した音や取り込んだ音を自分のイメージする音に近づけ、曲に馴染ませることができます。オーディオトラックを使いこなして、表現の幅を広げていきましょう。
 オーディオファイルを読み込む
オーディオトラックには、自分で録音した音だけでなく、既存のオーディオファイルを読み込んで配置することもできます。例えば、「サンプルパック」と呼ばれる素材集を活用すると、手軽に楽曲制作の幅を広げることができます。
サンプルパックとは、音楽制作に使える短い音の素材をまとめたものです。ドラムのリズムパターン、ベースライン、効果音など、様々な種類のサンプルパックがあります。サンプルパックはインターネット上で無料で配布されているものもあるので、自分好みのサンプルを探してみてください。
これらの編集機能を活用することで、オーディオトラックで録音した音や取り込んだ音を自分のイメージする音に近づけ、曲に馴染ませることができます。オーディオトラックを使いこなして、表現の幅を広げていきましょう。
 


1-4 インストゥルメントトラックとは?

インストゥルメントトラックは、DAWソフト上で仮想の楽器を演奏するためのトラックです。
この仮想の楽器のことを「ソフトウェア音源(ソフト音源)」と言い、様々な種類のソフト音源を使うことで、パソコンだけでたくさんの楽器の音を扱うことができます。
例えば、ドラムの音を録音するにはスタジオが必要ですが、ソフト音源を使えばDAW内でドラムの音を鳴らすことができます。
本物の楽器を用意して演奏するのは大変ですが、DAWやソフト音源があればパソコン一台で簡単に色々な楽器を演奏できてしまいます。
 

どうやって演奏するの?/MIDIの入力方法

インストゥルメントトラックで楽器の音を鳴らすには、ソフト音源をそのトラックに割り当てることから始まります。ドラム音源やギター音源などがありますが、まずはDAWに付属しているソフト音源を立ち上げてみましょう。
次に、DAWソフト上の「ピアノロール」という画面に音符(ノート)を入力します。
鼻歌の録音メモを聞きながら入力したり、鍵盤を奏でて思いついたメロディを入力していきましょう。
ここで入力した演奏情報は「MIDI(ミディ)」と呼ばれ、ソフト音源はこのMIDIの情報を受け取って音声データに変換する役割を持ちます。
このため、MIDIはそのままにソフト音源を置き替えれば、ピアノの音を木琴に差し替えるといった事も簡単にできるようになっています!
音符を入力する方法はマウスで直接入力する「打ち込み」と鍵盤やパッドなどのMIDI機器で実際に演奏して入力する方法があります。
DAWで打ち込みやMIDIキーボードで音符を入力すれば、楽譜の知識がなくても、実物の楽器を持ってなくても、その楽器で演奏したようなメロディを創り出すことができるのです!

◼︎打ち込み
マウスを使って、音符を一つずつ入力楽器が弾けなくても演奏できます。

◼︎MIDI機器で入力
実際に鍵盤やパッドで演奏した音符をそのままMIDIデータとして入力でき、直感的に演奏できます。
MIDIは後から自由に編集することができるので、演奏が上手くいかなくても、演奏したデータのタイミングや音程を後から修正することもできます。
「インストゥルメントトラック」でできることは、イラストソフトで描画した後に線の太さ、位置、タッチを変えたりできる「ベクターレイヤー」と似ているね!

いろいろなソフト音源

ソフト音源には、ピアノやギター、ドラム、シンセサイザーなど様々な種類があります。他にも、オーケストラで使われるような弦楽器や管楽器、普段は接することの少ない伝統的な民族楽器など、数えきれないほどのソフト音源があります。
また、楽器の音を混ぜ合わせて現実にはない仮想の楽器を作りだしたり、自分では演奏できない楽器のリアルなサウンドを DAW上で自在に作りだすことができます。ぜひ、色々なソフト音源を試して、自分だけのサウンドを見つけてみてください。


いかがでしたか?
音楽制作の全体像がなんとなく想像できましたか?
第2回はいよいよ実際に曲を作るパートに突入します。



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