俺たちピラミッドMKK

対決

VOL.06

銀河新聞 東京版 20XX年11月15日の三面記事

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(投稿者:ミミズク)

──今回のテーマは「銀河新聞 東京版 20XX年11月15日の三面記事」です。そして連載開始から二度目となるSkypeトークです。個展のため、寺田さんはまたも日本にいません!

Giant Robot Presents:
Return of the Hot Pot Girls by Katsuya Terada/11月15日~12月3日

寺田 はい、今回はですね、LAからお送りしております!
五月女 おしゃれ~。
寺田 LAがおしゃれとか言ってんじゃねーよ!
五月女 私、雰囲気で言ってるだけだから(笑)。
寺田 まったくだよ!
はい、じゃあやりましょうか。
今回はケイ子からやっちゃおうか!
五月女 ケイ子からやっちゃう?
小岐須 今回のケイ子の絵はどういうことなのかと!
寺田 オレは絶句したよ!
小岐須 俺も絶句したよ(笑)。
寺田 本当にすごい衝撃を受けましたよ。
これは一体……(笑)。まず、語ってみてください。
五月女 え?語っちゃうの?何に衝撃を受けたの?
ええと、ホントはもうちょっと、新聞っぽくしたかったので、
文章つけたバージョンも描いたりしたんですけど、
あまり限定するのも面白くないと思って。

──色々アイデアを出した末に、この絵に辿り着いたってことですよね?

五月女 そうですね。台風の時に、田んぼの様子を見に行って
亡くなっちゃうおじいちゃんについて描こう、
というのは最初に決めていて。あとは見せ方の問題ですね。
寺田 なるほど。銀河新聞についてはノータッチだ。
五月女 あ…
小岐須 未来でも、おじいちゃんは田んぼに行くと(笑)。
寺田 これ、そもそも三面記事ですか?
これは……呼びかけですよね?
五月女 「行かないで」っていうシンポジウムが
開催されたという記事は、やっぱ、三面でしょ?
寺田 あ、なるほど。シンポジウムが開催されたニュースなんだね。
五月女 そう。「田んぼの様子を見に行かないで! シンポジウム」!
寺田 ああ、わかってきました(笑)。
五月女 新聞だったら普通、シンポジウムの会場の写真じゃないですか。
それも描いてみたけど、絵的に面白くないから、
ゆるキャラにしちゃいました。
寺田 面白くないかなあ。
小岐須 五月女なら面白く描けたんじゃん?
ハゲのおじさんとか、いっぱい描いてさ。
五月女 そうだよね~。
寺田 でも、これにしちゃったよね~。
五月女 しちゃったね~(笑)。
小岐須 なるほどねえ(笑)。
五月女 …………。
寺田 ん?それで語りは終わりかい?
五月女 えーと……うん。
小岐須 えぇっ!?
寺田 なんかヤルキを感じないなあ(笑)。
五月女 そんなことないよ!すっごい考えましたよ!
みんな、三面記事じゃないって言いたいわけでしょ?
小岐須 いや、そういうことじゃなくてさ(笑)。
五月女 手抜きって言いたいのか?
ネタ先行だと、絵描くときに困ってしまって。
実は、色塗ったパターンも描いてたり…手は抜いてないよ!(笑)
寺田 いや、手を抜いたとは思ってないですよ。
手を抜くなら、普通この絵は描かない(笑)。
逆に、手を抜いてこの絵なら凄いよね。
この連載、もう終わるかもしれない。
五月女 えーっ!
寺田 いや、だから、これはやられたな、と思った。
五月女 いいですよ、ダメ出ししてもらって。
寺田 いやいや、そんな。
ダメ出しするような仲ではないじゃないですか。
五月女 そうだよね。傷を舐め合う仲だよね(笑)。
小岐須 そっちか(笑)!いや、俺は「銀河新聞」っていう
子供新聞なのかと思ったんだよね。
五月女 あー、そっか……銀河新聞のこと、まったく考えてなかった。
寺田&
小岐須
(爆笑)
五月女 とにかく田んぼの様子を見に行くご老人について描きたくて。

──五月女さんが気になっていたトピックスだったわけですね。

五月女 はい、気になってたんで。
寺田 おじいちゃん心配だよねえ。
五月女 ねえ。色々大変らしいですよ。
水門を閉める加減が難しいらしくて。
やっぱり見に行かなきゃいけないんだって。
寺田 堤防に手をつっこんで洪水を堰き止めたりね。
五月女 本当は自動水門閉めシステムができればいいんだけどねえ。
それで、この問題に対する警鐘をね。
小岐須 怒りを社会に訴えてるんだ。
五月女 そう、訴えてます!
寺田 大事だよね~。
小岐須 佐藤二朗みたいだな、さっきから(笑)。

──でも本当に新境地に辿り着いた感じはしますよね。

五月女 普段のラクガキだとこんな感じなんですけどね。
そして、ゆるキャラに対する警鐘も鳴らしてね。
ほら、最近なんでもかんでも、
ゆるキャラをつくる傾向があるでしょ。
寺田 あるよね~。
五月女 でも、ゆるキャラのデザインはしたくないですか?
小岐須 え、どっち?
警鐘を鳴らしたいのか、デザインしたいのか(笑)。
五月女 今度、ゆるキャラをテーマにしましょうよ。
克也さんの絵でゆるキャラ描いたら面白そう。

───あ、何ですか。これはゆるキャラですか?

(※下方に別のラクガキが描かれているため、部分アップでお届けします。全体図は後ほど!)

寺田 田んぼの様子を、みにこいやっ!!
五月女 とろけてる……。
寺田 ゆるいから。まあ、「もう、ゆるキャラやめようよ」って
みうらじゅんさんに言ってほしいわけですよね。
五月女 みうらさんは、無意識にゆるくデザインされたものに突っ込む、
というスタンスでしたけど、
もう意図的につくられちゃってますもんねえ。
寺田 そうですよねえ。
「ゆるキャラ」をつくろうとしちゃってるからなあ。
って、こんな話をする集まりでしたっけ?
小岐須 なんか、よくわかんない真面目な方向にいこうとしてるけど。
五月女 今回のテーマだとそうならざるをえないですよね。
きっと、みなさんの絵にも様々なメッセージがね……
(と、小岐須さんを見る)。
小岐須 なにそれ、フリ!?

──じゃあ、せっかく「フリ」をいただいたので、小岐須さんいきましょうか。

小岐須 今回のお題は20XX年でしょ?でも「西暦」って書いてないじゃん。
だから新暦の20XX年でもいいわけじゃないですか。
これは新暦ですごい未来だから、
人間がこんな状態になっちゃってるわけですよ。
寺田 人間なんだ、これ!
五月女 ゆるキャラだね!
小岐須 どこが(笑)!これは左側が沖縄県民で、右側が長野県民。
このふたつは長寿県ってことにプライドを持ちすぎちゃって、
どうにか長生きするために身体を変えちゃったんですよ。
それで沖縄は海洋生物的な進化をして、
長野はロボット化しちゃった。
そのふたつの県が物産展をやっている時の1コマですね。
長寿県同士で何かやろうってことで。
寺田 物産展だったのか~。それは意外だったな~。
小岐須 長寿県同士で、追いつけ追い越せでやってきたけど、
もうやめようと。ウチら、ここまでおかしくなっちゃったじゃん、
仲良くやってこうぜ、って。

──なるほど(笑)。長野県民のロボットの中身には何が入ってるんですか?

小岐須 内臓と脳みそですね。長寿だけを考えて生きてきたんで、
見てくれはもういいだろうと。
五月女 じゃあ、この人たちは結構なトシなの?
小岐須 もう200歳とかですよ。
五月女 じゃあ、おじいちゃんおばあちゃんなの?
小岐須 いや、そう簡単には死なない
身体になってるから200歳でも若い。
寺田 へ~。セックスはどうしてるんですか?
小岐須 いや、ちゃんと盛んですね。

──内臓しかないのに?

小岐須 でも精巣はちゃんと残ってるから。
ただ長寿第一なんで、子孫を残すことより自分たちが
長生きするほうに気持ちがいっちゃってる。
なので子供は減少する傾向にあるんですけど。
寺田 なるほどね~。そこは社会問題もはらんでいると。
小岐須 そうですね、長生きに固執して、
ここまでしていいんだろうかと。
五月女 そこは警鐘を鳴らしてね。沖縄と長野の子供はどうなんですか?
小岐須 いや、そこは交ぐわってないから。
五月女 禁止されてるの?
小岐須 というか、いがみあってたから。
でも今回の物産展で和解したんでね。
沖縄と長野って、本当に世界トップの長寿なんですよ。
そもそも日本の平均寿命が世界で一番高くて、
そのなかで沖縄と長野が一位を争っているらしい。
で、長野がなぜ長寿かというと、ストレスを感じにくい
性格の人が多いという説があるらしいですよ。
五月女 そうなんだ~。この物産展の中身が気になるよね。
寺田 本当だよね。何売ってんの?
小岐須 まあ、おやきとかね。
五月女 そこは今と変わらないんだ(笑)。
小岐須 そこを変えたらマズいと思うんですよね。
ずっと食べてきたものを変えたら、
たぶん長寿じゃなくなっちゃう。
五月女 沖縄はやっぱり豚の血を飲んでるのかな?
小岐須 どうですかね。沖縄は気候的に良いからね。
あと、ルーズな県民性らしいよ。
みんな細かいことを気にしないから、
三時半に待ち合わせと言ったら、家を三時半に出るんだって。
寺田 なるほど、なるほど。それは我々の〆切のようなもんだね。
小岐須 〆切の日に描くっていうね。
寺田 ちょっと、いたたまれない気持ちになってきたね。
五月女 でも長生きできるってことだね!
小岐須 だから〆切をあまり守っても長生きはしないっていう、
自分自身へのアンチテーゼでもありますね。

──いやいや、〆切は守っていただかないと困りますよ!

寺田 いえ~い。
五月女 でも、物産展だったとはなあ。
寺田 ねえ、面白かったですよ。
小岐須 だから、天井のところがちょっと鉄骨めいてるでしょ?
五月女 言われてみれば本当だ~!
小岐須 特設会場だからね。この奥にちゃんと物産展がある。
五月女 この時代の東京の人はどんな感じなんですか?
小岐須 普通に人間です。いろんな人が住んでいる時代なんですよ。
なので国内の移動にもパスポートが必要なんですけど。
まあ、俺のはそんな感じですね。
じゃあ、克也さんいきましょうか。
寺田 何を~。
小岐須 何をじゃなくて(笑)。
寺田 この人はね、顔が3つあるじゃないですか。
だから、どの記事を読んでも三面記事になるんですよ。
小岐須 ……(しばらく考えて)そこ(笑)!?
五月女 あ~っ、なるほどね(笑)!
寺田 もう何を読んでも三面記事になる人が見つかった、
という三面記事ですよ、多摩川でね。
小岐須 また多摩川(笑)。これは前回の象とは何か関係があるんですか?
寺田 関係があるとも言えるし、無いとも言えるね。

  ──この記事のなかに小岐須さんに似ている人の顔がありません?

小岐須 これ、俺が逮捕されたとかなの?
寺田 それは気のせいでしょうねえ。
小岐須 気のせいなんだ。どう考えても俺ですよね(笑)。

  ──左側の「解散」っていうのは? MKKと書いてあるような……。

寺田 これはMMKなので別の団体ですね。
だから我々には関係ないですね。
で、もう言うべきことは終わってしまいましたね。
小岐須 え? 早くない? この三面の人の話は?
寺田 ああ、この人は世が世ならば阿修羅様ですね。
でも、今となっては人間に忘れられてね、
普通に多摩川の一軒家に住んでるんですよ。
まあ、もう仕事をするでもなく、毎朝新聞を読んでね……。
五月女 あ、急須の口もちゃんと3つありますね、すごい!
これ、3人それぞれ何かキャラ設定はあるんですか?
寺田 いや、オレもあまりこの人のこと知らないんで。
なんせ、三面記事で知っただけなんでね。
顔を見ていると、それぞれに何かありそうですけど、
でも別々のようでいて三面とも
同じ人格だったりするんじゃないですか、阿修羅様だから。
小岐須 他の八部衆はどうしてるんですか?
寺田 散り散りなんじゃないですか。仕事がないからね。
小岐須 じゃあ、平和ってことですか?
寺田 ……わからないですねえ。
小岐須 なるほどねえ(笑)。
五月女 これは黄色い顔の人が新聞を読んでいるところで、
このあと順番に他の2人も読む感じなんですか?
寺田 いや、みんな一斉に見てるんですよ。
もう常に三面記事ですからね。テレビ覧を見ても三面記事!
五月女 そっか~(笑)。記事に関して
3人で話しあったりはするんですか?
寺田 3人というか、ひとりなんでねえ。
頭のなかで3つの記事が1つに見えるというね。
まあ、我々凡人には、なかなか理解しがたい状況ですね。

──ちなみに、この絵の時代設定は?

寺田 今ですよ、あたりまえじゃないですか!
五月女 現代なんだ(笑)。

──じゃあ、多摩川近辺に行けば阿修羅様に会えるってことでしょうか(笑)。

寺田 そうですよ。

──ご利益がありそうですね。

寺田 ご利益は無いんじゃないですか。
もう市井の人間として生きてるんで。
五月女 じゃあ、普通にスーパーとか行くんですか?
寺田 行ってるみたいですよ。そこで見つかって
三面記事になったんですから。
「阿修羅の末裔がいた!」って。
もう、本人自身も三面記事だし、本人が読んでも三面記事だし、
なかなか多面的な構造になってますね。
小岐須 あははははははははははは!
五月女 この人たちは自分の記事を
どういう気持ちで読んでるんですかね。
寺田 それはやっぱり、三面記事だな~って。
別に記事になるようなことしてないけどな~、
と思いながら目玉焼きトーストを食べてるわけですよ。
五月女 目玉焼きトースト美味しそう。
寺田 これは宮崎駿リスペクトですね。
この人たち、パズーが大好きなんですよ。
五月女 じゃあ、映画館に駿作品を観に行くんですか?
寺田 いや、観には行かないんじゃないですか。
DVDか地上波ですね。
五月女 そっか~(笑)。
寺田 ……。
小岐須 あれ、克也さん!
寺田 ……。
五月女 あれ? 回線切れた?
寺田 ……あ、切れてましたよ!
ネットの切れ目が縁の切れ目かな。
五月女 あはははは。
小岐須 いやいやいや(笑)。
寺田 もう、お互いの映像出すのやめましょうか、
重いから。なんかラジオっぽくなってきた!
五月女 なんか一曲流す?
寺田 コッキーポップ!
五月女 それ、なんですか?
寺田 わ~すれ~て~しまいた~い~こ~とや~♪
古いっ! これは高校生くらいの時に聴いていたラジオ番組ですね。
円広志の「とんで とんで とんで~♪」っていう
アレがテーマ曲でしたね。
まあ、本当にどうでもいい話ですね。
小岐須 俺はその頃、アニメトピアを聴いてましたね。
田中真弓さんがパーソナリティをしたりしていて。
寺田 パズーの声じゃないですか!

──繋がりましたねえ。

寺田 まあ、それはいいとして……どうですか。
この「俺たち!ピラミッド!」の現時点での総括をね、
何か無いのか、君たち。
小岐須 結構、あっという間でしたよね。
五月女 ねえ。私、今日のヤツどうしよう。
本にする時は描き直したほうがいいのかな。
小岐須 描き直しアリなんですか?
五月女 だってラフのほうがちゃんとしてるくらいだし(笑)。
小岐須 えーっ!
寺田 ケイ子はどう思ってるんだよ、
「俺たち!ピラミッド!」のこと。
五月女 え~? ……実験の場(笑)?

──楽しんで描いていただくのは、いいことだと思います。

寺田 甘やかしてる! オレたち甘やかすと大変なことになるよ!
小岐須 一本の線だけとか提出してくるかもよ!
で、拡大すると、その一本の線に何か凄いものが色々と……。
五月女 それは面白いねえ。
寺田 うーん、面白いのかなあ。

本日のラクガキ

寺田さんラクガキ1
担当編集が遅刻している間に寺田さんが描いたラクガキ(ホントスミマセン)。LAと書かれたお風呂に浸かる寺田さんと小岐須さんの後ろには、小岐須さんの愛犬の姿も。

寺田さんラクガキ2
「みにこいやっ!!」の全体図。実は下方には新暦の沖縄県民の姿が。寺田さんのアレンジを加えて描いてくれました。

五月女さんラフ
今回の完成絵に描かれた「みにこいや!」のゆるキャラ以外にも、「ボーフーウー」というゆるキャラ(?)も描いていた模様。