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ペンタブレットdeアート投稿コンテスト ワコム賞受賞 特別製品レビュー

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第10回ペンタブレットdeアート投稿コンテストで<ワコム賞>を受賞された四季まことさんに、
昨年12月に株式会社ワコムから発売された新製品「Wacom Cintiq Pro 13」を使い試していただき、製品に関するお話を伺いました。 (聞き手:ワコム)

四季まこと インタビュー


──Wacom Cintiq Pro 13以前の制作環境を教えてください。
四季  Intuos Pro largeを使用して制作していました。
描画ソフトはPhotoshop、Painter、CLIP STUDIO PAINTを用途によって使い分けています。


ワコム賞 受賞作品。光を放つ巨大建築がインパクト大。日が沈みかけている空の色の美しい移り変わりと、手前の重厚感のある色とのギャップも印象的だ。


──はじめてWacom Cintiq Pro 13を使用した感想を教えてください。

四季 とにかく「薄い」でした。最も厚い箇所でも厚さ1センチ程度しかない様に感じました。
重さも軽く、持ち運びにも便利そうで、資料やノートPCといっしょに手軽に持ち運ぶことができそうです。
描画エリアはA4より縦が若干小さい程度で、私の様にサブで線画を描く人間にはちょうど良いサイズでした。
液晶自体も紙に描いている感覚と同じような感覚で、ペンを走らせると心地よい摩擦感があります。
なによりも液晶ペンタブレットですので、紙に描くのと同じように直感的に描けるので重宝しています。


Wacom Cintiq Pro 13で制作したイラスト。春らしいピンクと紫のグラデーションが華やかな1枚。桜を見上げる、目を輝かせた女性のやわらかな表情も晴れやか。


──ペンの性能について感想を教えてください。

四季 Wacom Cintiq Pro 13では筆圧8192レベル対応の新型ペンを採用されているということで、
より自然なストロークで線を描くことができるように感じました。
ペン自体も細く、重量も以前のペンと比較して何割か軽くなっているようで、
重心がペン先側に来るよう工夫されており、以前のペンよりもより疲労感なく自然にペンを動かすことができました。
反応速度については、ペン先を素早く動かすと若干アイコンが遅れてついてくる感覚がありますが、
これは現在の環境が四画面マルチモニターという不可の大きい環境で作業をしている都合上かもしれません。


現在の制作環境 四季まことさんの、現在の制作環境


 ──液晶の性能はいかがでしたか。

四季 イラスト制作時は「自然な色を置くこと」「色味を豊かにする事」の2点を意識して、手描きの温もりを感じさせるような自然で柔らかな色彩にこだわりを持っています。当初は、自分の思い通りの色がおけるか心配しておりましたが、いざ使ってみると思っていたよりもずっと発色がよく、しっかりと色を塗ることができました。

 ──Wacom Cintiq Pro 13を使用して苦労した点を教えてください。

四季 PCとの接続に苦労しました。Wacom Cintiq Pro 13の接続は新仕様のUSB-Cとなっていますが、USB-Cケーブルの接続端子を実装しているPCは、まだ多くないかと思います。
私の場合、Mini DisplayPort実装のグラフィックボードを購入して、付属のWacom LinkにUSB-BケーブルとMini DisplayPort変換ケーブルで接続させましたが、やはり配線には若干の煩雑さを感じました。

 ──板型から液晶ペンタブレットに変わって1番良かった点を教えてください。

四季 アナログ時代と同じように、自由に線が引けるようになった点です。
板型ペンタブレットでは、なかなか狙ったところに線を引くのが難しかったのですが、液晶ペンタブレットでは滑らかな曲線も鋭い直線も紙に鉛筆で描いていた頃と同じように自由自在に引くことができます。
なによりも、今までよりはるかに肩の力を抜いてイラストの制作に取り掛かれるようになった点が大きいです。
板型ペンタブレットのみだった頃に比べ、ラフの制作速度も格段に上がり、落書きやクロッキーの量も2倍ぐらいは増えたのではないでしょうか。


作品タイトル「盛夏到来」/草原に広がる入道雲が夏の訪れを感じさせる。広大な空の青と鮮やかな緑、それを眺める人物と白馬のコントラストが爽やか。


──Wacom Cintiq Pro 13を使用する事で作品や創作意欲にどんな違いが出ますか。

四季 1番の違いは、以前より線画に対する意欲が沸いた事です。
今までデジタル作画で線画を敬遠していた理由は、デジタルではどうしても直感的に線を引けないという点が大きかったのですが、Wacom Cintiq Pro 13のおかげで線を引く喜びを取り戻したように感じます。
最近では、時間があるとWacom Cintiq Pro 13でクロッキーや線画の練習をしています。新しい機材によって、自由度が幅が広がる事はそれすなわち表現力の向上であり、創作において大きな武器になります。
今後は、Wacom Cintiq Pro 13で練習を重ね、新しいジャンルのイラストにもチャレンジしていきたいです。


今回使い試したペンタブレット
Cintiq  pro 13(DTH-132)公式サイト

外形寸法 360 x 235 x 11.9mm
質量 1.1 kg(オプショナルスタンド未装着時)
表示サイズ 33.8 cm
読取方式 IPS FHD高輝度パネル
最大表示色 1670 万色
読取可能範囲 294 x 166 mm (11.6 x 6.5 インチ)
マルチタッチ機能 ○
付属の専用ペンの種類 ワコムのPro Pen 2


筆圧レベル 8192 レベルの筆圧 (ペン先と消しゴムの両方)
傾き検出角度 64 度
傾き検出レベル ±60 レベル
対応システム PC:Windows® 7 SP1 以降
MacOS 10.10以降、Intel®プロセッサ、最適なパフォーマンスのためのUSB-Cポート(またはminiDisplayPortとUSBポート)、インターネットアクセス機能


四季まこと
フリーランスのイラストレーター。現在は主にゲームのコンセプトアート、風景・背景イラスト、TCGのキャラクター・クリーチャーイラストなどで活躍中。厚塗りタッチで描いた民族調のイラストが人気を得ている。MUGENUP STATIONコンペ 100回記念大賞、第10回ペンタブレットdeアート投稿コンテストでワコム賞を受賞。
仕事では、これまでコンセプトアート、ゲーム背景、風景、TCGキャラクター・クリーチャーイラストなど、幅広く手がけている他、『近景/中景/遠景の描き分けでイラスト・背景がみるみるうまくなる』(株式会社玄光社)の作例も担当した。

Pixiv:https://pixiv.me/makkou4
HP:http://makkou4ri.wixsite.com/bajo-shonen-sugu
Twitter:@makkou_4
©四季まこと

作品タイトル「冬の朝は世界が白い」/雪に反射する光がキラキラと輝き、キリッとした冷たい空気を感じる。小鳥を守る親鳥に驚く少女の表情も印象的。四季まことさんの作品は、季節の温度や空気、臭いを感じられる。人物が暮らす世界が緻密に描かれ、臨場感を味わえるのが魅力的のひとつだ。