ペンタブレットdeアート投稿コンテスト・歴代グランプリ受賞者インタビュー

17回目のコンテストでグランプリを受賞したのは「サイユ」さん！
サイユさんへ、メイキング作品の構想や作品づくりのこだわり、好きなモチーフについてお聞きしました。
※季刊エス85号の記事を元したWEBインタビューです。

 

サイユ　インタビュー

 

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──「季刊エス」85号でメイキングイラストを描き下ろしていただきました。どのような人物やテーマをイメージして描き進めましたか？
サイユ　太陽と月をモチーフに、コケティッシュなゴシックの天使（堕天使）のイメージです。受賞作と似たカラーとブラシで描かせて頂きました。受賞は本当に驚きで投票してくれた方々、審査員の方々、本当にありがとうございます！　絵にまったく理解のなかった父が、すごく喜んでくれました。何より嬉しかったです！

──やわらかい表情とマッチしたなめらかな線や、透明感のある色使いに引き込まれます。描くようになったきっかけを教えていただけますか？
サイユ　学生時代はアナログ画材を使っていました。デジタルは初任給でパソコンを購入してからです。二次創作から活動をはじめたのですが、当時は好きな作品と近い塗りでした。自分の絵はこれじゃないと思い、アニメ塗り、油彩風、水彩風など一通り試しました。今の塗り方は昔から描いているアナログ感のあるタッチが楽しいと思ったことがきっかけです。

 

雑誌「季刊エス」85号に描き下ろしたメイキングイラスト。
誌面では【水彩】【不透明水彩】ブラシを使って濃淡をつけていく作画メイキングを紹介しました！

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──風合いのあるタッチもサイユさんの作品の魅力のひとつですよね。筆の動きを感じるタッチが美しいです。デジタルとアナログ画材、それぞれのお気に入りのポイントを教えてください。
サイユ　絵によって画材は使い分けています。デジタル画材は、塗り込みしやすく好きなタッチで描けます。アナログ画材は主に水彩とアクリル絵具を使っているのですが、紙の質感と偶然に生まれる色合いが良いです。どちらも完成すると制作の苦労が吹き飛びますし、幸福感がすごくあります。
 

──サイユさんが描くキャラクターには、可愛さと美しさが詰まっています。気合いを入れて描くパーツを教えてください！
サイユ　嬉しいお言葉ありがとうございます！　気合を入れて描くのは目です。作画も顔周りから進めていきます。納得できたら他の場所に移ります。大切にしていることは男女ともにキャラを美しく描くことです。もっと綺麗に描きたいので、常に試行錯誤を繰り返しています。

 

オリジナル作品より
グランプリ受賞作品と同じ世界観で描いているヴァンパイアのシリーズとのこと。
深みのある赤と黒は、透明感のある白い肌がより映えます。

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――サイユさんが作品のイメージを深めたり、創作意欲を高めたりするときに、見たり、聴いたり、おこなっていることを教えていただけますか？
サイユ　ヨーロッパや日本の中世時代が好きで、美術品や装飾、衣装にすごく惹かれます。工芸品、建築、素晴らしい絵画がたくさんあるので、それらを見ているとドキドキして絵を描きたくなります。

――教えてくださりありがとうございます。今後、描いてみたいモチーフや、やってみたいお仕事、活動を教えてください。
サイユ　やってみたいお仕事はゲーム系です。ゲーム大好き！　描いてみたいのは、幻想世界の美しい住人達です。受賞作も今回描いたイラストもそんなイメージで描きました。自分にしか描けない世界をいつか実現したいです。今後の活動で新しく挑戦していきたいのは、アナログ原画の販売です。初夏に某印刷会社さんの自社レーベルから絵本のようなイラスト集を販売して頂ける予定です。今回の受賞を糧にして、一歩ずつ進んでいけたらいいなと思います。ありがとうございました！

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──ここからは受賞賞品の液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 17」を使ってみた感想を伺います。サイズ感や描き心地はいかがでしたでしょうか？
サイユ　使える環境を整えて使ってみてから感想を書きたかったので、お時間を頂きました。「Wacom Cintiq Pro 17」は私の作業環境には最適の大きさです。イラストを描くときはノートPCから外部出力した外付け液晶モニターも使っていたのですが、視点移動が大きく一枚の絵を描き上げると目がもすごく疲れていました。逆にノートPCのモニターは解像度が低く、何度も拡大縮小を繰り返す作業が発生していたので、その中間的なサイズのものがいいなと思っていました。「Wacom Cintiq Pro 17」の大きさは私にはちょうどいいです。受賞記念で好きな液晶タブレットを、とご提案いただいたときに、これだと思いました！　デスクの上を移動や、別の部屋に持ち運ぶこともできる大きさで使いやすいです。

――これまで使われていたペンタブレットとの違いを、どんな点で感じましたか？
サイユ　「Wacom Cintiq Pro 17」はアナログを描いているような感覚に近く、タッチ画面と描画と自分の手の動きとがダイレクトに伝わる感じです。技術の進化がすごい！　繊細な動作まで読み取って描画してくれるように感じます。シャープでくっきりとした画像が美しくイラストの細部の見え方や解像度がこれまでとは別物です。今までは細部の確認のために100%に拡大して画面を箇所ごとにスクロールして何度も確認していたのですが、その作業がだいぶ軽減するなと感じました。

ちなみに、はじめて購入したのがワコムのペンタブレットで、「Intuos4」が2代目、「Wacom Cintiq Pro 17」で三台目になるのですが前2台も1度も故障したことがなく現役で使えています。

――「Wacom Cintiq Pro 17」で使ってみたい機能を教えて下さい。
サイユ　「Wacom Cintiq Pro 17」はAdobe RGBが正しく表示できるので、色の扱いがこれまで以上に楽しみになりました。最近はAdobeRGBに対応した発色を表現出来る、特殊デジタル印刷を提供してくれる印刷所も出てきました。「Wacom Cintiq Pro 17」に合わせて色空間をAdobe RGBで統一したPCも新調し、これまで以上に幅広い印刷物の制作や対応ができるようになり嬉しいです！　本当に素敵な液晶タブレットをお送り下さって、季刊エスやワコム関係者の方に御礼申し上げます！　ありがとうございました！

――こちらこそ作品をお送りくださりありがとうございました！

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サイユ／イラストレーター。幻想世界やファンタジックな舞台に登場する少年少女を美しく魅力的に描く。デジタルだけでなくアナログイラストも制作。MVやグッズへのイラスト提供やLive2Dの立ち絵なども手がけている。

X：@saiyukako
pixiv ID【67018455】

作業環境
・PC：Windows
・ペイントソフト：CLIP STUDIO PAINT、Photoshop 2023
・ペンタブレット：Intuos4、Wacom Cintiq Pro 17

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イラスト集「幻想夜話〜美しい少年少女」
石田製本よりサイユさん初のイラスト集が発売中です！
2023年〜2024年4月に描いた水彩画＆デジタルのイラストが収録されています。

仕様：A5サイズ・上製本・フルカラー40ページ
価格：1,700円(税込1,870円)

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©サイユ