【第4章】皇帝さん


女帝の森で満たされた心持ちのFOOLは元気いっぱい、旅を続けます。しかし、美しかった景色から一転、細い川が流れてはいますが、荒野に出てしまいました。空も夕焼けのようなオレンジ色に変わり、ものものしい雰囲気です。
FOOLがすこし心細さを感じながら歩いていると、前方に牡羊の彫刻のついた石の玉座に、威厳に満ちた人物が座っていました。家族を大切にする動物と言われるオオカミの顔、鉄の甲冑に身を包むその方にFOOLはおそるおそる尋ねます。

「おそれいりますが、ここで何をされているのですか?」
「私は皇帝。自分の国、家族を責任もって守り、安定した国づくりを目指すもの。いかに計画し、基盤をつくり、豊かにしていくかを思案しているのだ」
「私は旅をしながら、この世の仕組みを学んでいます。あなたのお考えをご教示願えますか」
「よかろう。では聞くが、この荒地を豊かで安心して住む場所にするために必要なものとは何と心得る?」

計画性の無さ、無鉄砲さで愚者と呼ばれたFOOLには全く分かりません。
「まずは、責任だ。任務の途中であきらめない心、やり切ろうとする意志。そして、いまこの自分が置かれている現状を把握する時間。この場所でいえば、見るからに荒れはて、一見、資源などない。だが、使えるものを探す、考える、そして練り上げることができれば、道は開ける。次に、計画性だ。自分の考えた理想や目的を具現化するにあたり、いつまでに何をして、どこまでに作り上げるかというプランニングだ」
そこまで言うと皇帝は、それはずいぶん難しそうだと不安げな顔をしているFOOLに、厳しかった表情を緩め、まるで父親のような温情深い眼差しを向けました。
「私が君にもうひとつアドバイスするとしたら、失敗しても怖がらない、続けること。それを次に活かすこと。継続は力なり、というだろう?」
気がつくと、皇帝の周りを家族だと思われる狼顔の一団が取り囲んでいます。 皇帝は石の玉座から降りて彼らと共に去っていきました。 とても仲の良い家族で、愛にあふれていることが伺えました。
一見、厳しそうな皇帝は権威の象徴ではありますが、その立ち位置は、彼自身の真摯な姿勢で築き上げたもの。責任とは、自分が大切にしているもの、家族や仲間、思い描く理想像を愛しているから持ち続けられるもので、継続するに値するものなのだ、とFOOLは皇帝たちの背中をみてしみじみ感じ入りました。


4番・皇帝/Emperror
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