【第3章】女帝さん


FOOLが川に沿って歩いていくと、キラキラと光に満ちた野原、美しい森、風にそよぐ豊かな麦畑が広がっています。
春のような秋のような不思議な風景の麦畑の向こうには、たくさんの座り心地の良さそうなクッションを背に石の玉座に座った優しそうな女性がいました。多産を表すウサギの顔をしています。同じ女性でも、女教皇の神秘的な近寄りがたい佇まいとはちがい、何か、お母さまのようなあたたかさを感じます。 ゆったりとした微笑みをたずさえた彼女に、FOOLは尋ねました。
「ここはとても豊かな場所ですね。あなたは、どなたなのですか」
「私は、女帝と呼ばれています。この世界に創造性とその実りをもたらすものです。この世界の全ての生きとし生けるものに、愛を感じ、愛から作り出し、愛に感謝をささげ、愛とともに生きてほしいと心から願うものです」
「僕は、この世界を旅していろいろなことを学んでいる最中の旅人で、いろんなことがわかっていません。愛とは一体なんなのでしょうか?」
「愛とは感謝、愛とは喜び、愛とはそのもののために力を注ぎたいと思う原動力、愛とはあるがままを受け入れること…、まだ続けますか?」
愛とは〇〇と、言葉で説明されても、実態をつかむのは難しいな、とFOOLは思いました。
「いいでしょう、FOOLさん。ここは豊かさを学ぶ場所。この種は、そこに咲いている花の種です。この種に美しい花を咲かすよう、心から願い、土に埋めてみてごらんなさい。そして毎日お世話をしてみなさい」
花など育てたことのないFOOLでしたが、言われた通りに種を土に埋めて、祈り、毎日、水を注ぎ、観察をしてお世話をしました。

すると、ある日、土の中から小さな双葉の芽が現れました。そして、日を追うごとに茎は伸び、ついには蕾をつけて花を咲かせました。
「どうですか? あなたの横に咲いている元の花と、あなたが自分のお世話で咲かせた花、どちらも美しく可愛い花ではありますが、どちらに、より愛を感じるでしょう?」
「わあ、自分で咲かせたほうが、可愛いと感じます。愛せる可能性を感じます! この後どうなるのかを、もっと見ていたいと感じます」
「創造性は、愛を知るうえでの第一歩。愛は豊かな心をうみ、さらに広がっていくのです」


3番・女帝/Empress
このカードのキーワード

自分がずっと抱えてきたアイデア
が具現化するタイミングがきたと伝えています。
その原動力は愛であるべきです。
お母さんのような存在が背中を押してくれるかもしれません。

絵と文|D[di:]
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