【第2章】女教皇さん


聖なる力で空を飛ばせてくれる白い犬君が去ったので、FOOLは自力で歩いて進むことになりました。しばらく歩き続けていると、急な眠気がおそわれ、FOOLは木陰の下で休むことにします。
目をつぶると、何やら神殿のような場所の風景が見えます。ああ、これは、夢の中? 明晰夢ってやつかなぁと思いながら、さざ波のような癒やされる音のする方向に歩いていくと、黒い柱と白い柱に挟まれた石の玉座に座る女性がいました。美しい聡明な容貌の犬の顔をしていて、その女性がまとうドレスは、まるで水面のように光がゆらゆらと揺れ、胸元には太陽の十字、足元には三日月の光が反射していました。頭上には、透き通った水牛のツノと水晶玉が合わさった王冠を載せ、手にはTORAと書かれた巻物のような書物を手にしています。
FOOLはキラキラと光り輝く彼女が、神秘的な女性だなあと思いながら、「あなたのお名前を教えていただけますか?」と尋ねました。
「私は無意識の世界の入り口を守るもの。女教皇と呼ばれています」
FOOLの肩に載っていたインコが、耳元でささやきます。
「彼女はシャーマンで、未来や運命など全てを見通せるそうですよ」
そこで、FOOLは女教皇にこの先の旅路、自分の運命について聞いてみることにしました。
女教皇はおごそかな声でこたえてくれます。
「その時がくれば、あなたの目の前に真実は全て露わになるのに今知りたいのですか? これから起きることを知ってしまって、あなたは果たして新鮮な喜びを心から受け取れるのかしら?」
彼女は、そう言って自分の背後の2本の柱の間を指差しました。そこにはザクロとヤシの刺繍が施された厚いタペストリーが架けられ、その先にどんな風景が広がっているかは見えません。ただ、その向こうから、さざ波のような音がしているので、水に関係する場所のようです。

「水は蒸発すると気体になり、上昇してまた雲となり、重くなると雨として落ちてまた水に戻ります。自在に体を変化させることができるのです。これはあなた自身も運命も同じ。何にでも変化できる、つまり未来は確定していない、可能性に満ちている。これからどうなるかは、あなたがどう動いたか、何を選んだかで決まっていきます。あなたは直感で、自分に正直に選んでいくべきでしょう。迷ったら、目を瞑り、深呼吸をして、この神殿を心の中で思い出して。この場所はあなたが元いた不可能のない魂の源の世界につながっているのですから」
その瞬間、FOOLは目が覚めて、神殿は消えていました。


2番・女教皇/HIghPries
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全てに意味があるのだということを。

絵と文|D[di:]
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