【第1章】魔術師さん


山を越え、どんどん進んでいくと、森の先で庭園に出ました。
その庭園には野生のシャロンの野薔薇や鈴蘭が咲き乱れ、中央にあるアーチからは赤いバラが垂れ下がり、その下には木製の大きな机が置かれています。机の向こう側には白い衣の上に赤マントを羽織った、自信に溢れた表情の人物が立っていました。
「あなたは、どなたですか?」
とFOOLが尋ねると、赤マントの人はそれには答えずに、
「机の上に、君のバッグの中身を出しなさい」と言います。
FOOLがこの世界に降り立つ前に持たされた小さなバッグを逆さまにすると、机の上には、カップ、剣、木製の杖、金貨がドサドサと落ちてきました。赤マントの彼は言います。
「カップは”感情”を注ぎ溜めることができる。剣は”知性”を表し身を守る道具となる。そして木の棒である杖は火を灯すこともできるし、ついて歩けば疲労困憊していても先に進める”行動力”となる。コインはこの世界では物質的なもの、あるいは”お金・富”を表す。これらの道具はこの世界を、人生を旅するには必要な道具。知ってか知らずか、すでに君の手にはこれらがあった」
赤マントの彼は右手に持つ白い杖を天高く掲げ、左手で地面を指しました。その瞬間、庭の花たち、野生の素朴な野薔薇は美しい赤いバラに、小さな鈴蘭は大輪の白い百合の花に次々と変わっていきました。

「君は忘れてはならない。私達は、自分の思い描くものを具現化する力、無から有をつくりだすパワーを持っている。また、天からのインスピレーションを常に受けることができ、いかなる時も孤独ではない」
赤マントの人物がそう言うと、FOOLは彼と同じポーズを取っていました。どこからか自信がむくむくと湧いてくるのを感じます。
「ところで、私が誰かと聞いたね。私はだれだろうね?」
赤マントの彼が再び口を開いてこちらに歩み寄ると、FOOLの体に吸い込まれるようにして消えました。お供についていた白い犬が言います。
「魔術師があなたの体にはいりました。これで、あなたには男性性の行動力、アイデアが身につきました。僕、一緒にいると手助けしすぎちゃうんで去りますね。もともと備わっていた道具たちを使って、自分の力で歩き、旅を進めてください。いつでも天から見守っていますからね」
白い犬はFOOLに別れをつげ、赤い羽色だった小鳥は、インコカラーの小鳥に変わっていました。


1番・魔術師/Magician
このカードのキーワード

すでにあなたの手の中にあると伝えています。
思い描いていたものを、書く、話す、発信する、アウトプットした瞬間、
あなたの脳はそれを現実化しようとし始めますよ★

絵と文|D[di:]
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